kintoneで承認フローを回している会社から、こんな声をよく聞きます。
「申請から承認まで、なぜか毎回1週間かかります。でも、どこで止まっているのかは誰もはっきり言えません」
「プロセス管理は入れたものの、改善できたのかどうかを確かめる方法がありません」
「新しく出たプロセス分析は、うちのアプリでもすぐ使えるのでしょうか」
結論を先に言います
kintoneのプロセス分析とは、プロセス管理を設定したアプリで、レコードがどのステータスにどれだけの時間とどまったかを確認できる機能です。2026年9月版の時点では「検討中の機能」として紹介されていて、アップデートオプションで有効にして試す段階です。
なので、いきなり評価に使うより、まず「どこで止まっているか」を測る道具として試し、そのためにステータスの切り方を先に見直すのがいいかなと思います。
この記事で持ち帰れること
- kintoneのプロセス分析で、何が見えるようになるのか
- 使う前に押さえる前提(プロセス管理・検討中の機能)
- 分類軸・絞り込み条件・期間をどう決めると業務改善につながるか
- 部署別の使いどころ
- 滞在時間を読み違えないための注意点と、分析の前にやること
kintoneのプロセス分析で何が見えるのか

kintoneヘルプの「2026年9月版 主なアップデート」(https://jp.kintone.help/k/ja/update/main/2026/09)は、「検討中の機能」の節でプロセス分析を「業務プロセスの履歴を元に、ステータスごとの滞在時間を可視化できる機能」と紹介しています。
同じページによると、プロセス管理を設定したアプリの中で、レコードがどのステータスにどれだけの時間滞在したかを確認でき、業務プロセスのボトルネックの確認や発見を支援する機能として開発中、と書かれています。
操作の流れは、ページの説明では次のとおりです。
- レコードの一覧画面から「プロセスを分析する」をクリックし、プロセスの分析画面を開く
- 「分析の設定」を開き、分類軸とするフィールド、レコードの絞り込み条件、対象履歴の期間を指定する
- ステータスごとの滞在時間の合計値を確認する
分析の設定で指定できるものを、表にまとめます。
| 指定できるもの | 公式ヘルプの説明 | 使いどころの例 |
|---|---|---|
| 分類軸とするフィールド | 業務ごとに異なる分析の切り口に合わせて指定できる | 部署・申請の種類などで分けて比べる |
| レコードの絞り込み条件 | 集計対象とするレコードを指定できる | 特定の申請だけを対象にする |
| 対象履歴の期間 | 業務改善の施策後の期間などに絞って結果を確認できる | フローを変えた後の期間だけを見る |
右の列の「使いどころの例」は、公式ヘルプの説明をもとに弊社が当てはめたものです。同じページには、今後はより多くの観点から業務プロセスを分析できる機能を追加していく予定とも書かれています。
使う前に押さえる2つの前提
1. プロセス管理を設定したアプリが対象
プロセス分析は、プロセス管理を設定したアプリの中で使う機能として説明されています。
kintoneヘルプの「プロセス管理」(https://jp.kintone.help/k/ja/app/process/)によると、プロセス管理は業務プロセスに沿った進捗管理ができる機能で、申請の承認や稟議の決裁をアプリで管理して、ワークフローのように使うこともできます。稟議書・交通費申請・休暇申請のような「申請の承認や稟議の決裁を管理する」アプリや、作業タスク管理・クレーム処理のような「複数のユーザーで作業するタスクを管理する」アプリでよく使われる、と書かれています。
サイボウズの「便利に使おう ガイドブック Vol.07 プロセス管理」(https://kintone.cybozu.co.jp/material/pdf/kintone_guidebook_vol07.pdf)は、プロセスを「作業者、アクション実行前のステータス、アクション名(ボタン名)、アクション実行後のステータスの組み合わせ」で設定する、と説明しています。ステータスはレコードの処理状況のことで、例では「未申請」「上長確認中」「差し戻し」「承認済」の4つを登録しています。
2. 2026年9月版の時点では「検討中の機能」
「2026年9月版 主なアップデート」は、検討中の機能について、kintoneシステム管理の「アップデートオプション」画面で各機能を有効化すると実際の動作を試せる、と説明しています。
同じページには、検討中の新機能は定期メンテナンス以外のタイミングでも随時、仕様変更やアップデートオプションの提供開始・終了が行われる、と書かれています。プロセス分析の画面の画像にも「開発中の画面です」と添えられています。
業務改善にどう使うか:分類軸と期間の切り方
ここは公式ヘルプの記載ではなく、弊社が業務システムの改修で使ってきた考え方を、プロセス分析の設定項目に当てはめたものです。
| 知りたいこと | 分類軸 | 絞り込み条件 | 期間 |
|---|---|---|---|
| どの部署の申請が遅いか | 申請部署 | 対象の申請種別だけ | 直近の数か月 |
| 金額で承認経路が変わる申請のどちらが遅いか | 金額の区分 | 承認済みのレコード | 直近の数か月 |
| フローを変えて速くなったか | 変更前後で同じ軸 | 同じ条件 | 変更前の期間と変更後の期間を別々に |
| 担当者の負荷が偏っていないか | 作業者を入れたフィールド | 処理中のレコード | 繁忙期と通常期 |
いちばん効くのは3行目の「変更の前後で比べる」使い方だと考えています。公式ヘルプが期間の指定を「業務改善の施策後の期間などに絞って結果を確認できる」と説明しているのは、まさにこの使い方です。
金額で承認経路を分ける例は、ガイドブックの「プロセスを分岐させたい」に、合計金額が10万円以上(要部長決裁)と10万円未満(上長決裁)で分岐させる例として載っています。
部署別の使いどころ(ここからは弊社の考え)
公式ヘルプの記載ではなく、弊社がプロセス管理のよくある使い方に当てはめたときの考えです。
| 部署・業務 | 滞在時間で見たいステータス | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 経理(経費・交通費申請) | 上長確認中・経理確認中 | 月末に締める日と、それに間に合わせる基準 |
| 総務(稟議・備品購入) | 部長決裁待ち・差し戻し | 代理で承認できる人を置くかどうか |
| 営業(見積承認) | 見積承認待ち | 何日止まったら声をかけるか |
| カスタマーサポート(クレーム処理) | 一次対応中・原因調査中 | 調査中を部署ごとに分けるか |
| 現場・工事(作業タスク) | 作業中・検収待ち | 検収する人を誰にするか |
右の列が大事なのは、測った数字を見ても、何をもって「遅い」とするかが決まっていないと、改善の打ち手につながらないからです。
滞在時間を読み違えないために

ここも公式ヘルプの記載ではなく、弊社の考えです。滞在時間は便利な数字ですが、読み方を誤ると現場の空気を悪くします。
- 滞在時間が長い=担当者が悪い、とは読まない。 そのステータスの中には、差し戻し後の修正待ち、資料の確認待ち、休日も入ってきます
- ステータスが粗いと、全部が1か所にたまる。 「申請中」の1つしかないと、上長で止まっているのか経理で止まっているのかが分かりません。分析の前に、ステータスを「今だれの手元にあるか」で分けておきます
- 試用段階の数字で人を評価しない。 仕様が変わる可能性がある機能なので、まずは業務の流れを直すための材料に使います
ガイドブックには、作業者が不在の場合などに作業者以外でも代理でプロセスを進められる「作業者以外でも実行できるアクション」も紹介されています。滞在時間を見て「特定の人が不在のときに止まる」と分かったら、こうした設定で手を打てます。
CodeClimbの見解
ここまでは出典に書かれていることを並べました。ここからは弊社の解釈と経験で、出典のある事実とは分けて書きます。
弊社はkintoneの業務アプリの改修を請け負っていて、在庫管理アプリの改修のような案件も担当しています。改修の相談を受けたとき、最初にやるのは仕組みを作ることではなく、今どこで止まっているか、どこで手作業に戻っているかの聞き取りです。
正直、この聞き取りがいちばん時間がかかります。現場の方の「たぶん、あの承認で止まっている」という感覚は半分くらい当たっているのですが、残り半分は「止まっているのは承認ではなく、差し戻し後の修正だった」というように、聞いてみると違う場所でした。プロセス分析は、その感覚を数字で確かめる入り口になりそうだと考えています。
一方で、今回の公式ヘルプのページからは、対象となるコースや、どこまで前の履歴をさかのぼれるかを弊社では読み取れませんでした。試用段階の機能なので、業務で頼り切る前に、自社の環境で何が見えるかを確かめるのが先かなと思います。
なので、弊社が支援するなら次の順番で進めます。
- 承認や作業のステータスを「今だれの手元にあるか」で切り直す
- プロセス分析を試し、いちばん長くたまっているステータスを1つだけ選ぶ
- その1か所に、代理承認・通知・条件分岐のどれが効くかを決めて直す
- 直した日を境に期間を分けて、前後を比べる
以前の記事「脱Excelの移行先を比較して決める」でも、移行先は機能の多さではなく業務の上限で選ぶ、という考え方を書きました。業務システム化は「どこまでを仕組みにするか」を決める仕事です。測ってから直す順番にすると、作り過ぎを防げます。また、あるkintone運用案件では、外部サービスに月9万円かかっていたのを自社開発のシステムに置き換えて廃止し、年間約108万円を削減しました。外部連携の費用の見直しについては「kintone連携サービスの費用見直し」にまとめています。
よくある質問
Q. プロセス分析の画面には、どこから入りますか
「2026年9月版 主なアップデート」の説明では、レコードの一覧画面から「プロセスを分析する」をクリックすると、プロセスの分析画面を開けます。そのうえで「分析の設定」から、分類軸とするフィールド、レコードの絞り込み条件、対象履歴の期間を指定します。
Q. 承認者が複数いる場合、ステータスはいつ変わりますか
ガイドブックによると、複数の作業者を設定したときは「次のユーザーから作業者を選択」「次のユーザー全員」「次のユーザーのうち1人」から選び、どれを選ぶかで作業者の決まりかたやステータスが変わるタイミングが異なります。たとえば「次のユーザー全員」では、作業者全員がアクションを実行したらステータスが変わります。
Q. 承認の通知を見落とさないようにするには、どうすればいいですか
ガイドブックでは、メール通知とモバイルアプリのプッシュ通知が紹介されています。メール通知は、cybozu.com共通管理者がユーザー情報にメールアドレスを設定し、kintoneシステム管理者が「通知のメール送信機能を利用する」を有効にし、各ユーザーが個人設定で受信を選ぶ、という3段階です。モバイルアプリでは、通知を受け取ってそのまま承認もできると書かれています。
まとめ
kintoneのプロセス分析は、プロセス管理を設定したアプリで、レコードがどのステータスにどれだけの時間とどまったかを確認できる機能です。分類軸・絞り込み条件・期間を指定でき、施策の後の期間に絞って結果を見られます。2026年9月版の時点では「検討中の機能」で、アップデートオプションで有効にして試す段階です。
使うなら、まずステータスを「今だれの手元にあるか」で切り直し、いちばん長くたまっている1か所を直して、前後の期間で比べる。この順番がいいかなと思います。
承認フローの「止まる場所」から、一緒に見直しませんか
CodeClimbは、業務システムを売る側ではなく、現場に合わせて作る側の会社です。kintoneのアプリの改修や、ステータスの切り直し、外部サービスに頼っていた部分の置き換えまで、測るところから一緒に進めます。
「プロセス管理は入れたけれど、どこが遅いのか分からない」という段階からでも構いません。システム開発・業務改善のサービス内容をご覧いただいたうえで、お問い合わせから今の状況をお聞かせください。
出典
https://jp.kintone.help/k/ja/update/main/2026/09 | kintone ヘルプ | 2026年9月
https://jp.kintone.help/k/ja/app/process/ | kintone ヘルプ | 参照 2026-10-06
https://kintone.cybozu.co.jp/material/pdf/kintone_guidebook_vol07.pdf | サイボウズ株式会社 | 2026年4月
