須賀川や郡山の事業者さんと話していると、Googleビジネスプロフィール(GBP)の設定そのものより、こちらの相談のほうが多いです。
Googleマップから問い合わせが来るようにしたいんですけど、施術中は電話に出られないんですよね
前はチャットで受けられたはずなのに、管理画面から欄ごと消えていて、どこを見ればいいのか分かりません
WhatsAppを入れましょうと書いてある記事を見たんですが、日本のお客さん相手に意味あるんですか
3つとも、機能の名前を聞いているようで、聞きたいことは同じかなと思います。「電話に出られない/出したくない。でもGoogleマップ上の連絡手段が電話しかない。どうすればいいのか」です。
結論から言います
GBPの「チャット」欄をどう埋めるかだけを考えていても、この悩みは解決しないかなと思います。順番に整理します。
- GBPのチャットと通話履歴は2024年7月31日をもって提供が終了しています。これは予告ではなく、すでに確定した過去です
- いま「チャット」欄に入れられるのはテキストメッセージ(SMS)か WhatsApp の2択だけです
- しかも両方を登録すると、お客様に表示されるのはテキストメッセージだけになります。公式ヘルプに明記があります
- どちらもテキストメッセージを受信できる電話番号か、WhatsAppのclick to chat URLを入力する必要があります。つまり「番号を出さずに受けたい」という当初の目的は、この欄では達成できません
- なので現実解は、受け皿を自社サイト側に作り、GBPのウェブサイトリンクをそこへ向けることになります
この記事で持ち帰れること
- GBPのチャット廃止でいま何が残り、何が消えたのかの正確な現状
- 「チャット」欄の設定手順と、公式が示している要件・制限
- 「日本で使えるのか」を、記事の又聞きではなく自分の管理画面で確認する方法
- 電話番号を公開したくない場合に、どこに受け皿を作るのが現実的か
- 連絡先を増やしたときに実際に何が起きたか(弊社サイトの実測値)
まず前提。GBPのチャットは2024年7月31日に終わっています

Googleビジネスプロフィールヘルプの該当ページには、こう書かれています。
As of July 31, 2024, the chat and call history features are no longer available in your Business Profile.
Changes to Google Business Profile chat and call history|Googleビジネスプロフィール ヘルプ
このとき同時に無くなったものが、意外と知られていません。同じページのFAQに書かれている範囲でまとめます。
- チャットのFAQ機能(chat FAQ)もサポート終了
- 見積依頼(quote request)も利用できなくなりました
- Performance API の「BUSINESS_CONVERSATIONS」指標も提供終了
- 過去のチャット・通話履歴は Google Takeout からダウンロードでき、その提供期限は2024年8月30日までと案内されていました
一方で、残っているものもはっきり書かれています。お客様は引き続きGoogle検索とマップからビジネスを見つけて連絡でき、プロフィールからの電話の受信や、ウェブサイトへの流入・ルート検索といったエンゲージメント指標の計測も続きます。
そして、同ページのFAQでは、チャットが主要な連絡手段だった場合について「プロフィールに電話番号が入っていないなら追加すべきか」という問いが立てられていて、Yesと答えられています。電話番号についても、Googleの転送番号ではなく、事業者が登録した番号に自動で更新されると書かれています。
正直、ここがこの話のいちばん苦いところかなと思います。公式が代替として挙げているもののひとつが「プロフィールに電話番号を追加すること」なんですよね。電話を出せないから相談に来ている人にとっては、答えになっていません。
いま「チャット」欄に入るのは2つだけ。両方入れると片方は表示されません
では、いまの「チャット」欄は何なのか。公式ヘルプ「Chat with customers from your Business Profile」に要件と手順がまとまっています。
前提条件は、冒頭の一文がそのまま答えです。
Businesses with a claimed and verified Business Profile can add a WhatsApp or text messaging option to their contact info.
つまりオーナー確認済み(claimed and verified)のプロフィールであることが前提で、追加できるのはWhatsApp か テキストメッセージの選択肢です。
設定手順は公式の記載どおりだと次の流れです。
- ビジネスプロフィールを開く
- 「プロフィールを編集」→「連絡先」(Edit profile → Contact)
- 「チャット」(Chat)の横の「編集」を選ぶ
- プルダウンからWhatsApp か Text messageを選ぶ
- 「URL」または「電話番号」の欄に、WhatsAppのclick to chat URL、もしくはテキストメッセージを受信できる電話番号を入れる
- 保存する
そのうえで、同ページのTipsに書かれている2点が、日本語の解説記事でほとんど触れられていない部分です。
If you add both options, only the text message option will be shown to customers.
両方登録した場合、お客様に表示されるのはテキストメッセージのほうだけです。「念のため両方入れておこう」は、WhatsApp側を消す操作になります。
Different Business Profiles can use the same WhatsApp link.
複数拠点で同じWhatsAppリンクを使い回せることも明記されています。多店舗で1つの窓口に集約したい場合は、この仕様を前提に設計できます。
ここで最初の悩みに戻ります。テキストメッセージを選べばテキストメッセージを受信できる電話番号が要り、WhatsAppを選べばWhatsAppのclick to chat URLが要ります。どちらにしても、事業者側の連絡先そのものを差し出すことになります。「電話番号を出さずに連絡を受けたい」という目的は、この欄の中では構造的に達成できない、ということです。
「日本で使えるのか」は、公式文書からは判断できません
同じヘルプページには、注意書きとしてこう書かれています。
Important: Chat options are currently available for select regions and might not be available for your Business Profile.
一部の地域でのみ利用可能で、あなたのプロフィールでは使えない可能性がある、という記載です。そして、どの国・地域が対象なのかの一覧は、このページには載っていません。
日本語の解説記事には「日本でも使えます」と書いているものも「日本では使えません」と書いているものもありますが、公式の根拠URLが添えられているものを、弊社では確認できていません。
なので、確認方法は記事を読むことではなく、自分の管理画面を見ることになります。手順は上と同じで、
- 自分のビジネスプロフィールを開く
- 「プロフィールを編集」→「連絡先」を開く
- 「チャット」の行があるかどうかを見る
これだけです。行が出てこないなら、そのプロフィールでは選択肢そのものが提供されていない、と判断するのが確実かなと思います。オーナー確認が終わっていないプロフィールだと前提を満たさないので、先にそちらを済ませてください。
なお、事業者向けメッセージングの開発者向け窓口だったURLは、現在「RCS for Business」のページへ転送されます。小規模事業者が管理画面から無料で設定できる枠と、通信事業者やパートナーが関わる枠は、別のものになったと考えたほうが実態に合います。
電話を出したくないなら、受け皿はサイト側に作るしかありません

ここからが実務の話です。GBPの欄で解決しない以上、やることは1つに絞られます。GBPのウェブサイトリンクの向き先を、トップページではなく「問い合わせの受け皿ページ」にすることです。
理由は、GBPのパフォーマンス指標の定義を見ると分かりやすいかなと思います。公式ヘルプ「Understand your Business Profile performance & insights」では、計測できる項目がこう定義されています。
- Calls: プロフィールの電話ボタンがクリックされた回数。なお、この指標について公式ヘルプは「この指標を計測するには電話番号を追加してください」と案内しています
- Website clicks: プロフィールのウェブサイトリンクがクリックされた回数
- ほかに Views(プロフィールを閲覧した人数)、Directions(ルート検索をした人数)、Searches(検索に使われた語句)、Messages(メッセージのやり取りの件数)、Bookings(完了した予約の件数)など
電話番号を載せない方針を取るなら、Calls は動かしようがないかなと思います。実質的に動かせるのは Website clicks になります。だからこそ、その1クリックの着地点を「会社概要も実績もサービス紹介も並んだトップページ」にしておくのは、もったいないという話になります。
弊社が実際にやっている設定は次のとおりです。
- GBPのウェブサイト欄は、トップではなく用件に直結するページに向ける
- 着地ページには、フォームと、対応エリア・対応範囲・進め方を1画面に置く
- 電話番号は載せない。MEOの前提設定の側で「電話は非公開」と最初に決めてしまう
ちなみに弊社自身、電話番号を公開していません。所在地も「福島県須賀川市」までで、番地・建物名は出していない方針です。これは格好をつけているわけではなくて、過去にGBPのプロフィールが凍結された経験があり、その反省から社内の表記ルールを1枚にまとめたという経緯があります。そのとき決めた禁止事項のひとつが「住所の記載が必須の媒体に、住所なしで登録しようとしない」でした。中途半端に空欄のまま押し通すと、プロフィールごと止まるというのが、身をもって学んだことです。
ただし、連絡先を増やすほど「営業」の接触も増えます
連絡導線の話をすると「窓口は多いほどいい」で終わりがちなんですけど、弊社サイトの実測を見ると、そう単純ではありませんでした。直近28日間の自社サイトの数字です。
- お問い合わせページに直接着地したセッションが24。サイト内で2番目に多い着地点でした
- 同じ期間のサンクスページ到達19件のうち、11件(約58%)がその直接着地からでした
- 一方、自然検索から来てサンクスページまで到達したのは2件
- そして、この期間に実際に届いたフォーム送信20件を1件ずつ確認した結果、全件が同業他社または提携の営業で、発注検討の相談は0件でした
連絡先を分かりやすく置いたぶん、まず増えたのは「連絡先を機械的に集めている側」からの接触だった、ということです。これは自社の数字なので、他社事例より確度は高いと思っています。
だから受け皿を作るときは、フォームの設計を同時にやる前提で考えたほうがいいかなと思います。弊社では、送信前に用件の種類を選ばせる、対応できない依頼の条件を先に書いておく、といった仕分けを入れています。窓口を増やすこととセットでやらないと、自分の受信箱を埋めただけで終わります。
CodeClimbの見解
ここからは弊社の解釈です。事実として確認できる話は上までで、ここから先は経験からの推測が混ざります。
GBPのチャットが消えたのは、機能の縮小というより「役割の切り分け」だったと考えています。事業者向けメッセージングの本線が開発者・通信事業者側の枠組みへ移り、管理画面から無料で設定できる範囲には、既存のSMSとWhatsAppという「他所のインフラへのリンク」だけが残った、という見え方です。Googleが自前でチャットの受信箱を持ち続けるより、確実に動く既存チャネルへ橋渡しするほうが合理的だったのではないでしょうか。
そのうえで、日本の事業者にとってこの欄の優先度は高くないだろうというのが弊社の判断です。総務省の令和7年版情報通信白書「コミュニケーションツール・SNS」のページで名前が挙がっている国内のツールはLINE・X・Instagramで、LINEの利用率は2014年の55.1%から2024年には94.9%、60代でも11.3%から91.1%へと伸びた、と記載されています。この白書のページにWhatsAppは登場しません。もちろん「白書に出てこない=使われていない」とは言えませんし、訪日客の多い商圏なら話は変わります。ただ、国内客が中心の店舗が最初に手を入れる場所ではないかなと思います。
そして、電話を出したくないという相談に対する弊社の答えは、いつも同じです。連絡手段の欄を工夫するより、「電話以外で完結する導線」を自分の持ち物の側に作るほうが早いです。GBPの欄はGoogleの都合で増えたり消えたりしますが、自社サイトの問い合わせページは消えません。2024年7月にチャットが消えたときに困ったのは、受け皿をGBPの中だけに置いていた事業者でした。同じことがまた起きても大丈夫な置き方にしておく、という話かなと思います。
まとめ
- GBPのチャットと通話履歴は2024年7月31日に提供終了。チャットFAQ・見積依頼・BUSINESS_CONVERSATIONS指標も同時に終了しています
- いまの「チャット」欄はテキストメッセージか WhatsApp の2択。両方入れるとテキストメッセージだけが表示されます
- 利用できるのは一部地域のみと公式に書かれており、対象地域の一覧は示されていません。自分の管理画面に「チャット」の行があるかで判断してください
- どちらの選択肢も連絡先そのものを差し出す必要があるため、「電話番号を出さずに受ける」はこの欄では実現できません
- 現実解は、GBPのウェブサイトリンクを問い合わせの受け皿ページへ向けること。電話番号を載せない方針なら、実質的に動かせる指標は Website clicks になります
- ただし窓口を増やすと営業の接触も増えます(弊社実測: 28日で送信20件、全件が営業)。フォーム側の仕分けを同時に設計してください
口コミと順位の関係についてはGoogleの公式見解を整理した記事、プロフィールの説明文とAI検索まわりの扱いについてはこちらの記事にまとめています。
ご相談ください
「電話を出せない前提で、Googleマップからの問い合わせをどう受けるか」は、GBPの設定とサイト側の受け皿をセットで見ないと決められません。弊社はツールを売る側ではなく、実際に作って運用する側として、公式の記載と自社の実測の両方を突き合わせてお伝えしています。
- サイトの問い合わせ導線・受け皿ページの設計はWeb制作・システム開発
- 須賀川・郡山エリアのMEOの前提設定はこちらのチェックリスト
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出典
- https://support.google.com/business/answer/14919056?hl=en | Googleビジネスプロフィール ヘルプ(Changes to Google Business Profile chat and call history) | 参照 2026-09-13
- https://support.google.com/business/answer/15013580?hl=en | Googleビジネスプロフィール ヘルプ(Chat with customers from your Business Profile) | 参照 2026-09-13
- https://support.google.com/business/answer/9918094?hl=en | Googleビジネスプロフィール ヘルプ(Understand your Business Profile performance & insights) | 参照 2026-09-13
- https://developers.google.com/business-communications/business-messages/resources/release-notes/update-on-gbm | Google for Developers(RCS for Business) | 参照 2026-09-13
- https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd111120.html | 総務省 令和7年版 情報通信白書(コミュニケーションツール・SNS) | 2025年
