先週から今週にかけて、地域のお店をやられている方から、同じ話を3件続けて伺いました。
「Geminiにお店の情報を直させられると聞きました。営業時間の変更をいちいち管理画面から入るのが面倒なので、できるなら切り替えたいです」
「クチコミの返信をAIに書かせたいんですけど、うちのお客さんの名前がそのまま入っている文章を貼っても大丈夫なんでしょうか」
「調べたら日本語はまだ対応していないと書いてある記事と、もう使えると書いてある記事の両方が出てきました。どっちが本当ですか」
先に結論を書きます。日本語は対応済みです。Googleの公式ヘルプが挙げている対応言語12言語の中に、はっきりJapaneseが入っています。ここは事実として確定しています。
ただ、正直なところ使える事業者はかなり絞られます。公式が挙げている条件は4つあって、そのうち3つが実務の形と噛み合いません。とくに「検証済みのビジネスプロフィールを1つだけ持っていること」という条件が重く、複数店舗を持つ会社と、制作会社や支援会社に管理を任せている会社は、この時点で外れます。
私はCodeClimbとして、中小企業や個人事業主の方のWebサイトと業務システムを作っている側の人間です。MEOツールを売っていないので、「これを使えば順位が上がります」とは書けません。Googleは順位への影響を一切述べていないからです。そのかわり、実店舗をお持ちの事業者さんのMEOの分析と改善設計を実際に回している立場から、公式ヘルプの原文だけを根拠に、誰が使えて誰が使えないのかを整理します。
この記事を読み終えたときに持ち帰っていただきたいのは、次の4つです。
- 公式が「できる」と書いていることの範囲。順位の話は入っていません
- 自社が条件に当てはまるかの判定。とくに複数店舗と、代理管理をしている場合の扱い
- アクティビティ保存をONにすると何が起きるか。クチコミ本文を貼ってよいかの線引き
- 条件から外れた場合に、今の標準機能で代わりにできること
公式が「できる」と書いているのは4つだけ
まず範囲をはっきりさせます。Googleの公式ヘルプが挙げているのは、次の4つです。
- ビジネスプロフィールの更新。営業時間、連絡先、アクションリンクといった項目が例に挙げられています
- クチコミへの返信の下書き作成と、投稿の作成
- クチコミからの顧客フィードバックの分析と要約
- ビジネスインサイトへのアクセス。パフォーマンス指標と検索キーワードが例に挙げられています
ここで注意していただきたいのは、返信について公式が書いているのは「下書きの作成」だという点です。原文でも drafting replies となっています。AIが勝手に返信を確定して投稿してくれる、という話ではありません。
そして、この一覧のどこにも順位の話は出てきません。集客が増えるとも、MEOに効くとも書かれていません。あくまで管理画面でやっていた作業を会話でできるようにするという機能です。ここを取り違えたまま社内で提案すると、後で話が合わなくなります。クチコミと順位の関係についてGoogleが実際に何を言っているかは、クチコミとMEO順位の本当の関係に別途まとめています。
使う場所はGeminiのウェブアプリです。公式の条件にも「ビジネスプロフィールに紐づく個人のGoogleアカウントで、Geminiウェブアプリにサインインしていること」と書かれています。スマホのアプリから、という話ではありません。
条件は4つ。ここで大半の事業者が外れます

公式ヘルプが挙げている利用条件は、次の4つです。原文を並べます。
- Be an owner or manager of only one verified Business Profile on Google(Google上で、検証済みのビジネスプロフィールを1つだけ所有または管理していること)
- Be 18 or over(18歳以上であること)
- Be signed in to the Gemini web app with a personal Google Account that’s associated with your Google Business Profile(ビジネスプロフィールに紐づく個人のGoogleアカウントで、Geminiウェブアプリにサインインしていること)
- Have Keep Activity on(アクティビティの保存をONにしていること)
1つ目の only one が効きます。日本語の解説記事の多くは「オーナーまたは管理者であること」としか書いていないのですが、原文にはonly oneが入っています。つまり2つ以上の検証済みプロフィールを持っている、あるいは管理者として入っている人は、条件から外れます。
これが実務でどう効くかというと、外れるのは次のような方々です。
- 2店舗以上を運営している事業者。本店と支店で別々にプロフィールを持っていれば、その時点で2つです
- 制作会社や広告代理店にGBPの運用を任せていて、その担当者が管理者に入っている場合。担当者は複数の顧客のプロフィールにアクセスするので、担当者側のアカウントは条件を満たしません
- 自分の別事業のプロフィールを持っている個人事業主。飲食店と教室を別々に登録している、といったケースです
3つ目の条件も見落とされがちです。a personal Google Account と書かれています。Google Workspaceで会社ドメインのメールアドレスを運用していて、その業務用アカウントをGBPの管理に使っている会社は、そのままでは条件に当てはまりません。個人アカウントをプロフィールの管理者として追加するなり、権限の持ち方を変えるなりの作業が必要になります。これは便利機能の話ではなく、誰にどの権限を持たせるかという設計の話です。
提供地域についても書いておきます。公式は「Geminiウェブアプリが提供されている地域であればどこでも。ただし欧州経済領域と英国を除く」としています。日本は除外されていません。
なお、条件を全部満たしていても、すぐ画面に出てくるとは限りません。公式ヘルプには「GeminiにおけるGoogleビジネスプロフィールとビジネスノートブックは段階的に提供されており、まだ使えない場合があります」と書かれています。出てこなくても設定の問題とは限らない、ということです。
「アクティビティを保存」をONにするという条件の重さ

4つ目の条件、Keep Activity をONにすること。これが一番引っかかるところかなと思います。
Gemini Appsのプライバシーに関する公式ヘルプには、こう書かれています。
A subset of chats are reviewed by human reviewers (including Google’s trained service providers) to help improve Google services.
(一部の会話は、Googleのサービス改善のために、人間のレビュアー(Googleが訓練したサービス提供者を含む)によって確認されます)
そして、保持期間について同じページにこう書かれています。
Chats reviewed by human reviewers (and related data like your language, device type, location info, or feedback) are not deleted when you delete your activity. Instead, they are retained for up to three years.
(人間のレビュアーが確認した会話と、言語・端末の種類・位置情報・フィードバックといった関連データは、あなたがアクティビティを削除しても削除されません。かわりに最長3年間保持されます)
さらに、同じページには次の注意書きがあります。
Please don’t enter confidential information that you wouldn’t want a reviewer to see or Google to use to improve our services, including machine-learning technologies.
(レビュアーに見られたくない、またはGoogleが機械学習技術を含むサービス改善に使うことを望まない機密情報は、入力しないでください)
ここを整理すると、こうなります。この機能を使うにはアクティビティ保存をONにすることが必須で、ONにすると一部の会話が人の目で確認される可能性があり、確認された分は削除しても最長3年残る。そのうえで公式は「機密情報を入れるな」と言っています。
クチコミの返信を書かせたい、という使い方でこれが問題になります。クチコミ本文には、お客様の氏名、来店日、体調や施術の内容、トラブルの経緯が入っていることがあります。それをそのまま貼るのは、公式の注意書きと正面からぶつかります。
ちなみにアクティビティの管理に関する公式ヘルプによると、Keep ActivityをOFFにしていても会話は最長72時間アカウントに保存されます。OFFなら何も残らない、というわけでもありません。今回の機能はそもそもONが条件なので、OFFという選択肢自体が取れないのですが。
条件から外れた事業者が、今できること
複数店舗をお持ちの場合、Geminiからの操作は使えませんが、複数プロフィールをまとめて扱う仕組みは前からあります。ビジネスグループです。
公式ヘルプはビジネスグループを「ビジネスプロフィールを同僚と管理・共有するための、より安全な方法。プロフィールの共有フォルダのようなもの」と説明しています。管理者もオーナーも、グループ内でプロフィールの作成・編集・削除ができます。
そして権限まわりで押さえておきたいのがこの一文です。
When you add another user, like a co-worker or agency employee, as a manager or owner to the business group, they can access all current and future profiles placed in the group.
(同僚や代理店の従業員といった別のユーザーを、ビジネスグループの管理者またはオーナーとして追加すると、そのユーザーはグループに置かれている現在および将来のすべてのプロフィールにアクセスできます)
将来グループに追加されるプロフィールにも自動でアクセスできるという点は、権限を渡す前に知っておいたほうがいい話です。便利さと引き換えに、渡す範囲が広がります。
数字の確認については、パフォーマンス指標の公式一覧を見るのが確実です。ここに載っているのは、インタラクション、検索数、表示数、ルート案内、通話、ウェブサイトのクリック、メッセージ、予約、予約クリック、商品、メニュー、特典です。Geminiが読める「パフォーマンス指標」も、この土台の上の話になります。
プロフィールの中身そのものの整え方については、ビジネスプロフィールの説明文とAI Overviewsと、地域のお店向けのMEOとホームページのチェックリストにまとめてあります。Geminiが使えるかどうかに関係なく、先にやっておく価値があるのはこちらのほうです。
CodeClimbの見解
ここから先は、公式ヘルプに書いていない、弊社としての解釈と経験です。事実と分けて読んでください。
「2026年のGBP新機能」として出回っている話を、弊社はこう扱っています
今回この記事を書くにあたって、英語圏のMEO系ブログもひととおり見ました。「2026年のGBPの新機能」としていくつも並んでいるのですが、弊社が公式ヘルプと公式発表を当たった範囲では裏を取れなかったものが4つあります。あくまで弊社が確認できなかったという話で、事実として存在しないと断定するものではありません。
- 「表示回数が、通常の検索・MapsのAIサマリー・AI Overviewsの3つに分割して見られるようになった」
- 「AR店舗ツアーを持つプロフィールが優先されるようになった」
- 「2026年にローカル検索のアルゴリズムが、ブランドの知名度より人気度を重視するよう調整された」
- 「投稿の頻度とクチコミ返信の速さが、順位により重く効くようになった」
裏が取れていないので、弊社としては断定しないでおきます。実際に効いている可能性はありますが、社内の説明や予算の根拠にこれを使うのは避けたほうが安全かなと思います。
正直、この機能の条件設計を見て最初に思ったのは、「支援する側は使えず、事業者本人だけが使える形になっている」ということでした。1プロフィールのみという条件は、制作会社や代理店の担当者をきれいに弾きます。私たちのようにお客様のGBPに管理者として入る立場だと、条件を満たしようがありません。意図してそう設計したのかは分かりませんが、結果としてそうなっています。
そうすると、実際にこの機能に手が届くのは「1店舗を自分で運営していて、GBPも自分のアカウントで管理している事業者」に絞られます。地域で1店舗だけやられている飲食店や美容室、士業の事務所などが該当しますが、そういう方はそもそも管理画面を触る回数自体が多くないのではないかとも思います。営業時間を変えるのは年に数回で、そのためにアクティビティ保存の設定まで見直すかというと、割と微妙なところかなと。
クチコミ本文の扱いについては、弊社では線を引いています。お客様の氏名、来店日、トラブルの具体的な経緯は外して、要点だけをAIに渡す。これは今回のGeminiに限った話ではなく、外部のAIサービス全般で同じようにしています。手間はかかりますが、あとで「あの情報どこまで出しましたっけ」と分からなくなるほうがしんどいので。
もう1つ、実装する側として感じていることを書きます。業務システムをAIに繋ぐ仕事を実際にやっていると、毎回同じところで悩みます。読み取りと書き込みを分けて考えるということです。数字を読んで要約させるだけなら事故が起きても戻せますが、お客様に見える情報を書き換えさせるとなると話が変わります。今回の機能も「情報の更新」と「クチコミ返信の下書き」では性質がまるで違うので、使うとしても読み取り側から慣らしていくのが妥当かなと思っています。分析と要約から入って、書き込みは目視確認を挟む。ここは弊社の実作業でもそうしています。
最後に、これは推測ですが、こうした「AIから既存サービスを操作する」入口はこれから増えると思っています。そのときに毎回問われるのは、機能の便利さよりどのアカウントに、どこまでの権限を持たせているかだと考えています。今回の条件が個人アカウントを要求していることも、その予行演習だと捉えると意味が見えてきます。GBPの管理権限が今どうなっているかを一度棚卸ししておくのは、この機能を使う使わないに関係なく、やっておいて損はないかなと思います。
まとめ
- 日本語は対応済みです。公式が挙げる対応言語12言語にJapaneseが含まれています
- 公式が挙げる「できること」は情報の更新/返信と投稿の下書き/クチコミの分析と要約/インサイトの参照の4つ。順位の話は含まれていません
- 条件は4つ。とくに「検証済みプロフィールを1つだけ」が重く、複数店舗と代理管理はここで外れます
- 個人のGoogleアカウントが必要です。Workspaceの業務用アカウントで管理している場合は権限の持ち方を見直す必要があります
- アクティビティ保存のONが必須。一部の会話は人が確認し、確認された分は削除しても最長3年残ります。公式は機密情報を入れないよう求めています
- 提供地域は欧州経済領域と英国を除くGeminiウェブアプリの提供地域。ただし段階的な提供のため、条件を満たしても出ないことがあります
- 条件から外れる場合はビジネスグループで複数プロフィールをまとめる方法があります。ただし追加したユーザーは将来のプロフィールにもアクセスできます
自社のGBPの権限まわりを整理したい方へ
CodeClimbでは、中小企業・個人事業主の方のWebサイト制作と、AIを業務にどう組み込むかの設計をお手伝いしています。2025年は126件のご相談・案件対応をいただきました。「誰がどの権限を持っているか分からなくなっている」という状態からで大丈夫です。まずは今の状態を確認するところからお手伝いします。
AI活用の考え方はAI導入・活用支援のページにまとめてあります。ご相談はお問い合わせフォームからお願いします。いきなり依頼でなくて構いません。
出典
- https://support.google.com/business/answer/17142585?hl=en | Google ビジネスプロフィール ヘルプ | 参照 2026-09-09
- https://support.google.com/gemini/answer/13594961?hl=en | Google Gemini Apps ヘルプ | 参照 2026-09-09
- https://support.google.com/gemini/answer/13278892?hl=en | Google Gemini Apps ヘルプ | 参照 2026-09-09
- https://support.google.com/business/answer/6085339?hl=en | Google ビジネスプロフィール ヘルプ | 参照 2026-09-09
- https://support.google.com/business/answer/9918094?hl=en | Google ビジネスプロフィール ヘルプ | 参照 2026-09-09
