「Geminiがアプリをまたいで作業してくれるという話を見たんですが、うちのWorkspaceでも同じことができるんでしょうか」
「サイドパネルで試してみたけれど、発表で見たような動きにならない。設定が足りないんでしょうか」
「Business Standardを契約しています。この機能に追加の料金はかかるんでしょうか」
ここ数日、Google Workspace の Gemini について、こうしたご相談を続けていただきました。発表の内容だけを読むと「もう全部できる」ように見えるのですが、実際に日本語のアカウントで開いてみると、思ったとおりに動かないことがあります。理由ははっきりしていて、公式の発表文の最後に短く書かれています。
結論を先に言います
Geminiのアプリ横断代行とは、Gmail・Drive・Docs・Slides・Chatのどこにいてもプロンプトを出すだけで、Geminiが裏側でドキュメント・スプレッドシート・スライドの作成や日程調整まで進める機能です。2026年9月2日から段階的な展開が始まっていますが、Googleは提供開始時点ではこの機能を英語のみでサポートすると明記しています。
つまり、契約プランが対象に入っていても、日本語で使っているアカウントでそのまま同じ動きを期待すると、かみ合いません。まずここを確かめるのが先です。
この記事で持ち帰れること
- アプリ横断でGeminiに任せられるようになった具体的な5つの作業
- 自社の契約プランが対象に入っているかの確認のしかた
- 提供開始時点では英語のみ、という制限がどこに効くのか
- 日本語のまま今日から効かせられる手当て(カスタム指示と、日本語対応済みの機能)
- 業務フローに組み込むときに、置いてはいけない場所

Geminiのアプリ横断代行で何ができるようになったのか
これまでは、Docsで文書を作るならDocsを開き、Sheetsで表を作るならSheetsを開く必要がありました。Google Workspace Updates の発表では、以前は「パーソナライズされたAIの支援を受けるには、それぞれのアプリの中でプロンプトを出す必要があった」と説明されています。今回の更新では、Geminiが Workspace 全体を横断する「インテリジェントなオーケストレーター」として働き、Google Chat・Drive・Docs・Slides・Gmail のどこからでも指示を出せるようになりました。
Google Workspace Blog の記事では、具体的な使い方が5つ挙げられています。
| 指示を出す場所 | できること | Geminiが参照するもの |
|---|---|---|
| Google Chat(Ask Gemini in Chat) | 会話の流れを止めずにプレゼン資料を作る | 進行中のプロジェクト、Chatの会話、Gmailの受信トレイ、アクションアイテム |
| Google Drive(Ask Gemini in Drive) | フォルダを分析して構造化されたスプレッドシートを作る | 開いているフォルダと、自分が選んだ関連データ |
| Google Docs(サイドパネル) | チーム宛のメールを下書きし、そのままDocsから送ることもできる | その文書の内容と、選んだソースや管理者が有効にしたソース |
| Gmail(サイドパネル) | 長いメールスレッドを、構造化されたドキュメントに変換する | 開いているスレッドと、関連するDriveファイル・メール・チャット |
| Google Docs(サイドパネル) | 書いた提案書を、編集可能なスライドに変換する | 文書内の要点と、参照させたブランドガイドラインやテンプレート |
この5つ以外にも、Google Workspace Updates の発表には、大きなフォルダや長いスレッドに散らばったデータを、出典の明示つきのサマリーレポートにまとめる「ディープリサーチ」、空いている時間を見つけて会議を設定したりカレンダーの重複を解消したりする日程調整、リマインダーやToDoリストをそのまま Google Tasks に登録する機能が挙げられています。
生成されたドキュメントやスプレッドシート、スライドは、自分の Drive に保存されます。ここは「Geminiがどこか別の場所で作って渡してくる」のではなく、普段の保管場所にそのまま入る、という理解でいいかなと思います。
なお、同じ発表には、これらの機能が Workspace Studio で組むフローにも近く対応する予定だと書かれています。単発の指示だけでなく、定型の流れに組み込む方向も見えている、ということになります。
自社の契約プランが対象に入っているか
次に確認するのはプランです。Google Workspace Updates の発表に、対象が列挙されています。
| 区分 | エディション | 備考 |
|---|---|---|
| Business | Standard / Plus | — |
| Enterprise | Standard / Plus | — |
| 個人(Consumer) | Google AI Pro / Google AI Ultra | Google AI Pro は日程調整機能を除く |
| その他のエディション | Frontline Plus | 日程調整機能のみ |
| 教育向けアドオン | Google AI Pro for Education | — |
| その他のアドオン | AI Expanded Access | — |
展開のペースについては、Rapid Release ドメインと Scheduled Release ドメインのいずれでも、2026年9月2日から段階的な展開が始まり、機能が見えるようになるまで最大15日かかると書かれています。契約が対象に入っているのに表示されない場合、まだ自分のドメインに届いていない可能性があります。数日おいてから、もう一度開いてみるのが早いです。
どのプランでどこまで使えるのかを一度整理しておきたい方は、GeminiはWorkspaceとAI Proどちらが得かで、Workspace側とGoogle AI Pro側の線引きをまとめています。
もうひとつ、発表には「Workspace アプリ全体での高度なAI機能の利用には、使用量の上限が適用される」という注記が付いています。上限の具体的な数値は示されていないため、ここを当てにした設計はしない、という判断になります。

提供開始時点では英語のみ — 日本語アカウントで止まる場所
ここが、日本語の解説記事であまり触れられていない部分です。
Google Workspace Updates の発表の注記には、「提供開始時点では、この機能は英語のみでサポートされる」と書かれています。続けて「今後さらに多くの言語のサポートが追加される」とあり、時期については触れられていません。
Google Workspace の管理者ヘルプにある言語サポートの一覧でも、冒頭に「すべての Gemini 機能は英語で利用できる。一部のAI機能はその他の言語で利用できる」と説明されています。この一覧の日本語の節に載っている機能が、日本語で使えるものです。
そして、今回のアプリ横断代行は、2026年9月16日時点でこの日本語の節に載っていません。
では日本語の節に何が載っているかというと、次のとおりです。すべて「Available now(提供中)」として並んでいます。
| 機能(英語表記) | 内容 |
|---|---|
| Gemini in the side panel of Gmail, Chat, Docs, Sheets, Slides, and Drive | Gmail・Chat・Docs・Sheets・Slides・Drive のサイドパネル |
| Help me write in Gmail and Docs | Gmail・Docs の文章作成支援 |
| Help me create in Docs and Forms | Docs・Forms の作成支援 |
| Improve your content in Slides | Slides のコンテンツ改善 |
| AI summaries for email threads | メールスレッドのAI要約 |
| Summaries in Chat | Chat の要約 |
| Automatic translations in Chat | Chat の自動翻訳 |
| AI functions in Sheets | Sheets のAI関数 |
| Take notes for me in Meet | Meet の「メモを取っておいて」 |
| Speech translation in Google Meet | Google Meet の音声翻訳 |
| Generate an image with Gemini in Docs, Slides, and Vids | Docs・Slides・Vids での画像生成 |
| AI voiceovers in Vids | Vids のAIナレーション |
| Gemini in Drive file viewer | Drive のファイルビューアー内の Gemini |
| Gemini app / Gemini Notebook | Gemini アプリ / Gemini Notebook |
見ていただくと分かるのですが、日本語で使える範囲は決して狭くありません。サイドパネルも、要約も、Sheets のAI関数も、Meet のメモ取りも入っています。狭いのではなく、「アプリをまたいで裏側で作らせる」という今回の新しい部分だけが、まだ英語側にある、という状態です。
日本語で標準搭載されている範囲を一通り確認したい方は、Google WorkspaceのGemini標準搭載まとめにまとめてあります。
日本語のまま今日から効かせられる手当て
英語のみの機能を待つあいだ、何もできないわけではありません。同じ2026年9月2日から、もうひとつ展開が始まっています。
Google Workspace Updates の別の発表によると、これまで Google Docs だけで設定できた Gemini の「カスタム指示」が、Ask Gemini in Drive、Ask Gemini in Chat、そして Slides・Sheets・Gmail のサイドパネルへ拡大されました。カスタム指示は、文体・トーン・書式の好みを毎回伝え直さなくても Gemini が合わせてくれるようにするための設定です。
この更新で重要なのは2点です。
ひとつは、管理者側でやることが無いという点です。発表の「管理者」の項には、「この機能に管理者向けの制御はありません」とはっきり書かれています。情報システム担当者の順番待ちをせずに、使う人が自分で設定できます。
もうひとつは、保存した指示の管理場所です。保存されたすべての指示は Personalization Setting タブで確認・管理できると書かれており、ハンバーガーメニュー > Settings > Personalization からたどれます。
対象は、Ask Gemini in Drive、Ask Gemini in Chat、Gmail・Sheets・Slides のサイドパネルのいずれかを使える、すべての Google Workspace のお客様とされています。展開のペースは同じく、2026年9月2日開始で最大15日です。
弊社でも、Google Workspace を日々の業務の基盤にして、Meetの録画から議事録を起こす処理や、Driveの資料整理をAIに任せています。その中で効いているのは、派手な新機能よりも、こうした「毎回同じ指示を出さなくて済む」たぐいの設定でした。日報・振り返りは、以前は1〜1.5時間かけて書いていたのが、音声で話してAIにまとめさせる形にして30分になっています。見積書・請求書づくりも、1件15分かかっていたのが1分もかからなくなりました。どちらも、最新機能の力ではなく、決まった手順をAI側に固定できたことによる差です。
業界別・部署別の使いどころ
同じ機能でも、どの部署が最初に触るかで、効き方がだいぶ変わります。弊社がご相談を受けるなかで、順番として無理がないと感じている組み合わせを挙げます。
| 部署・業種 | 最初に任せると効く作業 | 今日できること/待つこと |
|---|---|---|
| 営業 | 長い商談メールのスレッドから、提案の骨子を1枚にまとめる | 日本語のメールスレッドAI要約は提供中。アプリ横断での構造化ドキュメント生成は英語のみ |
| 総務・管理部門 | 申請や問い合わせのやり取りを集約し、台帳の形に整える | SheetsのAI関数は日本語で提供中。Driveのフォルダ横断での表作成は英語のみ |
| 製造・建設 | 現場の報告や写真つきの記録を、日次でまとめて共有する | Meetのメモ取り・Drive内のファイル閲覧時のGeminiは日本語で提供中 |
| 士業・専門サービス | 面談の記録から、その場で顧客向けの返信文の下書きを作る | Gmail・Docsの文章作成支援は日本語で提供中。Docsからの直接送信は英語のみ |
| 経営・企画 | 複数の資料を横断して、経営会議用の資料に組み替える | Slidesのコンテンツ改善は日本語で提供中。Docsからのスライド変換は英語のみ |
この表の右の列を見ていただくと、どの部署でも「日本語で今できること」が必ず1つはある、という形になっています。全部を待つ必要はありません。
自社の業務のどこをAIに任せて、どこを人が持つのかを決めるところからご一緒したい場合は、AI導入・構築支援のサービスページをご覧ください。
CodeClimbの見解
正直なところ、今回の発表で一番大事なのは、できることが増えたことではなく、任せた作業の結果を誰がどこで確認するのかが動いたことだと思っています。
これまでのGeminiは、開いているアプリの中で、目の前の文書に対して手を貸す存在でした。今回は、指示を出した場所とは別のアプリに成果物が生まれます。Chatで頼んだらSlidesができ、Docsで頼んだらGmailに下書きが立つ。便利である一方で、「頼んだこと自体を忘れる」という、これまで無かった形の抜けが起きやすくなるはずです。
弊社がクライアント様の業務にAIを組み込むときは、自動化した処理の出力を必ず人が見る場所に置く、という設計にしています。あるkintone運用案件では、外部サービスに月9万円かかっていたのを自社開発のシステムに置き換えて年間約108万円を削減しましたが、そのときも効いたのは機能の多さではなく、確認の導線を1本にまとめたことでした。
その意味で、アプリ横断の代行を最初に置くべきなのは、間違っていても誰も困らない作業かなと思います。社内向けのたたき台、自分だけが読む要約、会議前の下調べ。ここから始めて、精度の傾向が見えてから、外に出る文書へ広げる。逆に、締め日のある請求処理や、止まると業務が止まる連絡の経路に最初から置くのは、避けたほうがいいのではないでしょうか。使用量の上限が適用されると明記されている以上、必ず通る経路に置くのは設計として弱いと考えています。
英語アカウントに切り替えて先に試す、という判断もあり得ます。ただ、業務アカウントで言語を切り替えると、表示や書式など他の部分にも影響が出ます。もし試すのであれば、全社で倒すのではなく、担当者ひとりの検証用アカウントで様子を見るのが現実的かなと思います。
売る側ではなく作る側から見ると、この手の機能は「入れれば速くなる」ものではなく、「どこまで任せるかを自分たちで決めて初めて速くなる」ものです。決めるのは機能の側ではなく、こちら側だと思っています。
よくある質問
Q. Geminiが勝手にメールを送ったり、会議を入れてしまうことはありますか。
Google Workspace Updates の発表には、外部とのやり取りやカレンダーの予定を伴う操作、たとえばメールの送信や会議の設定については、Geminiが対話的なプレビューカードを表示し、実行前にユーザーが確認・編集・確定できると書かれています。Human-in-the-Loop の制御として説明されている部分です。
Q. 自分がアクセス権を持っていない社内資料まで、Geminiが読んでしまいませんか。
同じ発表に、Geminiは認証されたユーザーの既存のアクセス権限と共有ポリシーを尊重すると書かれています。ユーザーがアクセスできないドキュメントには、Geminiもアクセスできないと明記されています。あわせて、データは人間によるレビューの対象にならず、Geminiモデルの学習にも使われないと説明されています。
Q. Chat から使いたいのですが、見当たりません。
Google Workspace Blog の記事では、まず Ask Gemini in Drive から試すことがすすめられており、Chat については「今後数週間のうちに利用可能になる」と書かれています。展開のペースそのものも最大15日かかるため、時間差があると考えておくのが安全です。
まとめ
- Geminiのアプリ横断代行は、Gmail・Drive・Docs・Slides・Chat のどこからでも指示を出し、別のアプリに成果物を作らせる機能です
- 対象は Business Standard / Plus、Enterprise Standard / Plus、Google AI Pro(日程調整を除く)・Google AI Ultra、Frontline Plus(日程調整のみ)、Google AI Pro for Education、アドオンの AI Expanded Access です
- 2026年9月2日から段階的に展開が始まり、表示までは最大15日かかります
- 提供開始時点では英語のみのサポートです。日本語アカウントで動かないのは、設定の問題ではないことがあります
- 日本語では、サイドパネル・メールスレッドの要約・Chatの要約・SheetsのAI関数・Meetのメモ取りなどがすでに提供中です
- カスタム指示の拡大は管理者の設定が不要なので、今日から手を付けられます
- 使用量の上限が適用されるため、止まると困る業務経路には置かないほうが安全です
まず「自社のプランは対象か」「表示は来ているか」「どの言語で使っているか」の3つを順番に確認してみてください。そのうえで、間違っても困らない作業から任せてみるのがいいかなと思います。
自社の業務のどこから任せるかを一緒に決めます
CodeClimbは、AIを売る側ではなく、自社の業務をAIで回しながらシステムを作る側です。「どの作業を任せて、どこを人が持つか」を業務の実態から整理し、必要であればそのための仕組みまで作ります。
- サービスの詳細:AI導入・構築支援
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出典
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/09/create-content-schedule-events-and-coordinate-tasks-across-Workspace-regardless-of-what-app-you-are-in.html | Google Workspace Updates | 2026年9月9日
https://workspace.google.com/blog/product-announcements/less-switching-more-flow-5-new-agentic-capabilities-across-google-workspace-apps | Google Workspace Blog | 2026年9月10日
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/09/custom-instructions-for-gemini-in-Workspace-now-available-in-more-apps.html | Google Workspace Updates | 2026年9月2日
https://knowledge.workspace.google.com/admin/generative-ai/google-workspace-with-gemini-language-support?hl=en | Google Workspace 管理者ヘルプ | 参照 2026-09-16
