Google Apps Script(GAS)がGoogle Workspaceのコアサービスになった、という話について、こんな声を聞きます。
「セキュリティが心配で、GASは社内で止めていました。もう再開してよいのでしょうか」
「担当者が作ったGASで毎朝の集計が回っていますが、会社として認めてよいのか判断がつきません」
「AIにGASを書かせる社員が増えていて、誰が何を動かしているのか把握できていません」
結論を先に言います
Google Apps Scriptのコアサービス化とは、GASがGoogle Workspaceのほかの中核サービスと同じ規約・データ保護・管理機能・標準サポートの対象になったことです。Googleは2026年6月に、すべてのGoogle Workspaceのお客様向けに提供を始めました。
ただ、公式の発表が説明しているのは、規約・データ保護・管理機能・技術サポートの扱いです。なので、止めていたGASを再開する前に、誰に許すか、誰のアカウントで動かすか、止めたときに何が止まるかの3つを、管理者が先に決めておくのがいいかなと思います。
この記事で持ち帰れること
- GASのコアサービス化で、何が変わったのか(公式発表の範囲)
- データリージョン対応と、Apps ScriptエディタのGemini(ベータ)の条件
- 管理コンソールでGASをオンオフする場所と、オフにしたときに止まるもの
- 止めていたGASを再開する前に、管理者が決める3つのこと
- 部署別の使いどころと、GASのままでよい業務・業務システムへ移す業務の線引き
Google Apps Scriptのコアサービス化とは:何が変わったのか

GoogleはGoogle Workspace Updatesブログの2026年6月23日の記事「Google Apps Script is now a Google Workspace core service with enterprise-grade data protection」(https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/06/google-apps-script-workspace-core-service.html)で、Apps Scriptが正式にGoogle Workspaceのコアサービスになったと発表しました。
記事によると、Apps ScriptはGoogle Cloud利用規約とGoogle Workspace for Education利用規約の対象になり、ほかのコアサービスを守っているのと同じ、エンタープライズ水準のデータ保護、管理機能、標準の技術サポートを提供するとされています。これにより、組織全体でApps Scriptをより安心して展開できる、という説明です。
開発者向けのリリースノート「Google Workspace release notes」(https://developers.google.com/workspace/release-notes)では、日付は2026年6月22日で、Apps Scriptがコアサービスとして一般提供になったと書かれています。ブログ記事の公開日(6月23日)とは1日ずれていますが、どちらも2026年6月の発表です。
管理者と利用者に求められる対応は、ブログ記事では次のように書かれています。
| 対象 | ブログ記事の記載 |
|---|---|
| すでにApps Scriptを有効にしている管理者 | 対応は不要。新しいコアサービスの保護と技術サポートが自動で適用される |
| 以前にApps Scriptを制限した管理者 | コンプライアンス、セキュリティ、サポートの懸念で止めていた場合は、サービスを有効にできる |
| 利用者 | 対応は不要 |
| 提供時期 | 即時リリース・計画的リリースのどちらのドメインも、すでに利用可能 |
| 対象 | すべてのGoogle Workspaceのお客様 |
同じ記事では、Apps Scriptでできることの例として、スプレッドシート・ドキュメント・スライドの中に独自のメニューやダイアログ、サイドバーを作ること、スプレッドシートのカスタム関数を書くこと、社内向けのアドオンを作って外部のAPIとつなぐことが挙げられています。
あわせて出た2つの更新
リリースノートには、コアサービス化のあとにApps Scriptの更新が2つ載っています。
| 日付 | 更新 | 条件 |
|---|---|---|
| 2026年8月3日 | Apps ScriptエディタでGeminiのサイドパネルが使える | Gemini Betaプログラムに参加しているお客様だけ |
| 2026年9月14日 | Apps Scriptがデータリージョンに対応(一般提供) | Enterprise Plus・Frontline Plus(保存と処理を地域内)、Education Standard・Education Plus(保存のみ地域内) |
データリージョンについて、リリースノートでは、スクリプトのプロジェクトファイル、コード、マニフェストの設定、トリガーの情報、Property ServiceやCache Serviceなどの保存データが指定した地域に保存され、スクリプトの実行やコンテナバインドの自動処理は選んだ地域で処理される、と説明されています。厳しいデータリージョンのポリシーのもとでは、旧Rhinoランタイムのスクリプトは対象外で、V8ランタイムを使う必要があります。
管理コンソールのどこで、GASをオンオフするのか
Google Workspace管理者ヘルプ「Turn Apps Script on or off for users」(https://knowledge.workspace.google.com/admin/users/access/turn-apps-script-on-or-off-for-users?hl=en)によると、管理者は組織のユーザーに対してApps Scriptをオンまたはオフにできます。既定では、組織のすべてのユーザーとゲストに対してオンになっています。
設定する場所は、Google管理コンソールの「メニュー > アプリ > Google Workspace > ドライブとドキュメント」で、そこから「Google Apps Script」を選びます。ドライブとドキュメントの管理者権限が必要です。
| 切り替えの単位 | ヘルプの記載 |
|---|---|
| 組織全体 | 全員に対してオン、または全員に対してオフ |
| 組織部門 | 部門ごとにオンオフ。親の設定を引き継ぐか、上書きするかを選ぶ |
| アクセスグループ | 部門をまたぐ、または部門内の一部の人だけにオンにする |
変更の反映には最大24時間かかることがあり、通常はもっと早く反映される、とも書かれています。
GASをオフにすると、何が止まるのか
同じヘルプで、Apps Scriptをオフにしたときの動きが説明されています。ここは再開・停止の判断に直結するので、表にまとめます。
| オフにしたときの影響 | ヘルプの記載 |
|---|---|
| スクリプトの作成・編集 | 組織のユーザーはスクリプトを作ることも編集することもできない |
| 止まる実行 | ウェブアプリ、カスタム関数、スプレッドシートで記録したマクロ、シンプルトリガー、インストール型トリガー |
| AppSheet | 「Call a script」で呼び出すApps Scriptが動かない |
| Google広告のスクリプト | 実行、プレビュー、予約したスクリプトが止まる |
| Looker | コミュニティコネクタがデータを取得できず、グラフにエラーが出る |
| Marketplaceのアプリ・アドオン | Apps Scriptで作られたものでも、Marketplaceのユーザーインストール設定で許可されていれば、インストールも実行もできる |
注意したいのが、一部のユーザーだけをオフにした場合です。ヘルプによると、その人たちが持っているスクリプトは、Apps Scriptがオンでスクリプトへのアクセス権があるほかのユーザーなら、開くことも、編集することも、実行することもできます。「この部署は止めたから、もう動かない」とは限らない、ということです。
止めていたGASを再開する前に、管理者が決める3つのこと

1. 誰に許すか
ヘルプのとおり、オンオフは組織全体・組織部門・アクセスグループの単位で切り替えられます。「全員にオン」に戻すのではなく、まずは業務でGASが必要な部署やグループだけにオンにして、どんなスクリプトが作られるかを見るのが安全だと考えています。
2. 誰のアカウントで動かすか
ここはGoogleの今回の発表には書かれていない、弊社の考えです。詳しくは後半の「CodeClimbの見解」で書きますが、毎朝の集計や通知のように業務を支えるスクリプトを、個人のアカウントの持ち物のままにしないことを、再開の条件にしておきたいところです。
3. 止めたときに何が止まるか
上の表のとおり、オフにするとウェブアプリやトリガーだけでなく、AppSheetの「Call a script」、Google広告のスクリプト、Lookerのコミュニティコネクタにも影響します。再開するときも、また止めるときも、社内でGASにつながっている仕組みの一覧を先に作っておくと、判断がぶれません。
AIで書いたGASは、誰が読んで、誰の権限で動かすか
Apps Scriptのガイド「Use the Gemini side panel in the Apps Script editor」(https://developers.google.com/apps-script/guides/gemini)によると、Apps ScriptエディタのGeminiサイドパネルでは、コードの生成・修正・エラーの修正と、Apps Scriptについての質問ができます。ただし、使える条件ははっきり絞られています。
| 項目 | ガイドの記載 |
|---|---|
| 提供の状態 | Gemini Betaプログラムに参加しているお客様だけ |
| 必要なライセンス | Business Standard・Business Plus・Enterprise Standard・Enterprise Plus、Workspace Geminiのアドオンライセンス(Gemini Business、Gemini Enterpriseなど)、Google AI Pro for Education、Google AI Pro、Google AI Ultraのいずれか |
| 管理者の設定 | 管理コンソールで、Geminiまたは生成AIの機能を有効にする必要がある |
| 言語 | 英語のみ |
| 対象のスクリプト | 自分が所有しているか、編集できるスクリプトプロジェクトだけ |
| 提案の採用 | 提案されたコードの一部だけを採用・却下することはできない。すべて採用か、すべて却下か |
| 権限の確認 | Geminiが作ったコードを入れて保存し、初めて実行すると、Workspaceの標準のOAuthの権限確認が出る。許可する前に、求められている権限を確認するよう書かれている |
| データリージョン | エディタのGeminiサイドパネルは、地域指定(リージョン化)に対応していない |
つまり、日本の会社がいますぐ日本語で使える機能、という段階ではありません。それでも、ほかのAIでGASを書かせて貼り付ける使い方はすでに広がっています。どちらの場合も、AIが書いたコードを誰が読み、初回の権限確認で誰が「許可」を押すのかは、ツールの側では決まりません。社内で決める必要があります。
部署別の使いどころ(ここからは弊社の考え)
ここは公式の記載ではなく、ブログ記事にあるApps Scriptの用途の例(独自メニュー、カスタム関数、社内向けアドオン)と、管理者が組織部門・アクセスグループ単位でオンオフできることを前提に、弊社が部署ごとに当てはめた考えです。
| 部署・業務 | GASに任せやすいこと | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 経理・管理 | スプレッドシートのカスタム関数での定型の計算、月次の集計表の作成 | 金額に関わるスクリプトは、作った人以外が中身を読んでから使う |
| 営業 | フォームの回答をスプレッドシートに集めて、担当者へ通知する | 通知のトリガーを誰のアカウントで動かすか |
| 総務・人事 | 申請の受付と一覧化、期限前のリマインド | 個人情報を扱うシートの共有範囲 |
| 情シス | 組織部門・アクセスグループ単位でのオンオフ、動いているスクリプトの棚卸し | オフにしたときに止まる仕組み(AppSheet・Looker・広告のスクリプトを含む)の一覧 |
CodeClimbの見解
ここまでは出典に書かれていることを並べました。ここからは弊社の解釈と経験で、出典のある事実とは分けて書きます。
まず正直に書いておくと、弊社はApps Scriptのデータリージョンや、エディタのGeminiサイドパネルを、社内でまだ使っていません。 なので、使い込んだ感想ではなく、業務システムを作る側の立場からの考えです。
今回のコアサービス化で変わったのは、規約・データ保護・管理機能・サポートといった「会社として認めやすくなる扱い」の部分だと読んでいます。「コアサービスになったから、どんなGASでも安全になった」とは考えていません。GASは、基本的に作った人や実行した人の権限で動きますし、インストール型のトリガーは作った人のアカウントに紐づきます。この性質は、今回の発表では変わっていないはずです。
弊社が業務システムの相談を受ける中でよく見るのは、担当者が作ったGASが毎朝の集計や通知を支えていて、その人の異動や退職で止まる、という形です。止まってから中身を読める人がいない、というのが一番困るところです。なので、再開するなら「誰のアカウントで動かすか」と「作った人以外が中身を読めるか」を、オンにする条件にしておくのがいいかなと思います。
AIでGASを書く場面については、弊社の自社運用の実感があります。システムの不具合の原因調査は、以前は半日かかっていましたが、AIを使うようになってから10分程度で原因が分かるようになりました。ただ、速くなったのは「原因を特定して直し方を見つける」ところで、直したコードを本番で動かしてよいかを判断するのは、今も人です。 Geminiサイドパネルの提案が「すべて採用か、すべて却下か」で、初回実行で権限確認が出る作りは、その線引きを社内ルールで補う前提だと受け止めています。
正直、GASで十分な業務は多いです。一方で、次のどれかに当てはまる業務は、GASのまま広げるより、業務システムへ移すことを考えたほうがよいと弊社は考えています。
- 止まると、その日の売上や請求、お客様への連絡に直接響く
- 複数の部署が同じデータを書き換える
- 作った人しか中身が分からず、引き継ぐ人がいない
- 実行時間や実行回数の上限に、すでに何度もぶつかっている
GASの実行時間などの限界と移行の判断基準は「GASの限界と業務システムへの線引き」に、Excelから抜け出すときの置き場所の考え方は「Excel脱却の限界はどこに置くか」にまとめています。スプレッドシートのデータをAIに渡す別の方法は「GoogleスプレッドシートのMCPサーバーとは?」を、AIに任せない線引きは「AI導入で任せない業務4分類」をご覧ください。
よくある質問
Q. 「ドライブとドキュメント」をオフにしている部署では、GASはどうなりますか
管理者ヘルプによると、Apps Scriptがオンでも「ドライブとドキュメント」がオフの場合、利用者はApps Scriptを開いてスクリプトを見たり、作ったり、編集したりできません。ただし、既存のスクリプトは引き続き実行されます。止めたつもりで動き続けるスクリプトがないか、確認しておきたいところです。
Q. エディタのGeminiが作ったコードも、データリージョンの範囲で処理されますか
Apps Scriptのガイドでは、エディタのGeminiサイドパネルはリージョン化に対応していないとされています。データリージョンのポリシーを使っている組織では、Geminiサイドパネルを使うかどうかを、データの置き場所の方針とあわせて判断する必要があります。
Q. Apps Scriptのオンオフは、どのエディションでもできますか
管理者ヘルプは、この設定がすべてのGoogle Workspace、Cloud Identity、G Suiteのエディションで使えると書いています。一方で、データリージョンへの対応はEnterprise Plus・Frontline Plus・Education Standard・Education Plusに限られる、とリリースノートにあります。オンオフとデータリージョンで、対象が違う点に注意してください。
まとめ
Google Apps Scriptは、2026年6月にGoogle Workspaceのコアサービスになりました。規約・データ保護・管理機能・標準サポートがほかのコアサービスと同じになり、9月にはデータリージョンにも対応しました(Enterprise Plus・Frontline Plusは保存と処理、Education Standard・Education Plusは保存のみ)。エディタのGeminiはベータで、参加者限定・英語のみです。
管理者は、組織全体・組織部門・アクセスグループの単位でGASをオンオフできます。オフにするとウェブアプリやトリガーに加えて、AppSheet・Google広告のスクリプト・Lookerのコミュニティコネクタにも影響が出ます。止めていたGASを再開する前に、誰に許すか、誰のアカウントで動かすか、止めたときに何が止まるかを決めておく。この順番がいいかなと思います。
GASで回している業務を、仕組みとして整えませんか
CodeClimbは、ツールを売る側ではなく、業務に合わせてシステムを作る側の会社です。GASで十分な業務はGASのまま整え、止まると困る業務は業務システムへ移す、という線引きからご一緒します。
「誰が作ったか分からないGASが動いている」「再開してよいか判断がつかない」という段階からでも構いません。システム開発のサービス内容をご覧いただいたうえで、お問い合わせから今の状況をお聞かせください。
出典
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/06/google-apps-script-workspace-core-service.html | Google Workspace Updates | 2026年6月
https://developers.google.com/workspace/release-notes | Google for Developers | 参照 2026-10-13
https://knowledge.workspace.google.com/admin/users/access/turn-apps-script-on-or-off-for-users?hl=en | Google Workspace 管理者ヘルプ | 参照 2026-10-13
https://developers.google.com/apps-script/guides/gemini | Google for Developers | 参照 2026-10-13
