kintoneを何年か使っている会社から、こんな声を聞きます。
「前に似た案件があったはずなのに、どのアプリに入っているのか思い出せません」
「見積書のファイル名は覚えているのに、どのレコードに添付したのかが分からないんです」
「スペースのスレッドやコメントでのやり取りまで含めて、社内ツールから探せるようにしたいです」
結論を先に言います
kintone全体を検索するAPIとは、アプリのレコードだけでなく、コメント・スペース・スレッド・添付ファイルまでを横断して探せるkintoneのREST API(/k/v1/search.json)です。これまでAPIラボで試せたもので、11月8日の定期メンテナンスで正式リリースされる予定です。
正式リリース後は、アップデートオプションで有効にしなくても使えるようになります。そのかわり、このAPIにはAPIレート制限が設定されます。また、検索結果は「認証したユーザーが閲覧できるデータ」に限られるので、どのアカウントで呼ぶかを先に決めておくことが大事になります。
この記事で持ち帰れること
- 11月のメンテナンスで、全体検索APIの何が変わるのか
- 検索できるデータの種類と、範囲の絞り方(表で整理)
- 認証方式と、検索結果に出てくるデータの範囲
- 使う前に確かめておきたい4つの注意点
- 部署別の使いどころと、社内向けAIの検索の入口にする考え方(弊社の考え)
kintone全体を検索するAPIとは:11月8日のメンテナンスで正式リリース予定
cybozu developer networkの「2026年11月8日 kintone API アップデート情報」(2026年10月9日公開。https://cybozu.dev/ja/kintone/news/api-updates/2026-11/ )では、APIラボで公開していた「kintone全体を検索する」API(/k/v1/search.json[POST])を正式リリースする、と案内されています。
同じページによると、定期メンテナンス後は、アップデートオプションでAPIの利用設定を有効にしなくても、このAPIを利用できます。そして、正式リリースにあたり、kintone全体を検索するAPIにはAPIレート制限が設定されます。レート制限の具体的な数値は、このアップデート情報のページには書かれていません。
APIラボとは、開発を検討中のAPIを公開している場所です。APIラボのページ(https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/api-lab/ )には、アップデートオプション内の「検討中の新機能」から動作を試せること、そしてAPIに関するフィードバックを受け付けていることが書かれています。
この記事を書いている2026年10月31日の時点では、検索APIの詳しい仕様はAPIラボのページ(https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/api-lab/rest-api/search/search-data/ )で公開されています。以下の仕様は、この時点のAPIラボのページに書かれている内容です。正式リリース後にドキュメントが更新される可能性があるので、実装する前にもう一度確かめてください。
何を探せるか:検索対象と絞り込みの条件

APIラボのページによると、types で検索対象にするデータの種類を指定できます。指定できるのは、レコード、レコードコメント、スペース、スレッド、スレッドのコメント、ピープルのコメント、メッセージのコメント、添付ファイルの8種類です。省略した場合は、すべての種類が検索対象になります。
リクエストで指定できる主な条件を表にまとめます(2026年10月31日時点のAPIラボのページより)。
| パラメーター | 指定する内容 | 主な決まり |
|---|---|---|
query(必須) | 検索条件 | 1個以上20個以下。複数指定するとすべての条件を満たすデータが返る |
query[].operator | AND / OR / NOT | ANDかORの条件が1つも無いと、検索結果は空になる |
query[].keywords | 検索語 | 1つの検索語は1文字以上50文字以下。query 全体で検索語は20個まで |
types | データの種類 | 省略するとすべての種類が対象 |
scopes | 検索範囲(アプリ・スペース・ピープル・メッセージ) | 20個以下。アプリやスペースはIDで限定できる |
excludeScopes | 除外する検索範囲 | scopes と重なった場合は excludeScopes が優先 |
createdAfter / createdBefore | 作成日時の範囲 | 下限と上限を指定できる |
creators | 作成者のログイン名 | 20個以下 |
includeSynonyms | 表記揺れや略語、同義語も含めるか | 省略すると false |
sort | 並び順(関連度か作成日時) | 省略すると関連度。関連度では昇順を指定できない |
limit | 最大取得件数 | 1以上20以下。省略すると20 |
たとえば「アプリ1とアプリ2の中から、abcを含む添付ファイルを探す」なら、types に ATTACHMENT、scopes に APP と2つのアプリIDを指定します。APIラボのページには、このほかにも「スペース1の中から探すが、スペース1の中にあるアプリ2のデータは除外する」といったリクエストの例が載っています。
検索結果は hits という配列で返り、それぞれに種類、URL、検索語の周辺テキスト(snippets、最大3件)が付きます。レコードの検索結果なら、アプリ名やレコードID、検索語にマッチしたフィールドも返ります。続きがある場合は nextPageToken が返り、次のリクエストの pageToken に指定して続きを取ります。このトークンの有効期限は発行後30分です。
ひとつ気をつけたいのは、limit の件数に満たない状態でレスポンスが返る場合がある、という点です。APIラボのページでは、続きのデータが残っているかどうかは nextPageToken の値の有無で判定するように書かれています。「20件より少なかったから終わり」と判断するプログラムは書かないようにしましょう。
認証と権限:検索結果は、認証したユーザーが閲覧できるものだけ

APIラボのページでは、このAPIの認証方式は「パスワード認証」と「セッション認証」と書かれています。2026年10月31日時点のこのページには、APIトークン認証の記載はありません。正式リリース後に変わる可能性もあるので、使う予定の認証方式は、リリース後のドキュメントで確かめるのが安全です。
必要なアクセス権は「なし」とされています。そのうえで、「認証に使用したユーザーが閲覧権限をもつデータを対象に検索します」と書かれています。つまり、特別な権限がなくても呼べる一方で、返ってくるのは、そのユーザーが見られるデータだけです。
レコードの検索結果では、作成日時フィールドの閲覧権限がない場合は作成日時が null に、作成者フィールドの閲覧権限がない場合は作成者が null になる、とも書かれています。フィールド単位のアクセス権も、検索結果の中身に影響するということです。
使う前に確かめておきたい4つの注意点
1. レート制限を前提に、呼び出し回数を設計する
アップデート情報のとおり、正式リリースにあたってレート制限が設定されます。具体的な数値はまだ公開ページで確かめられていないので、画面を開くたびに何度も呼ぶような作りは避け、正式版のドキュメントで制限を確かめてから組むのがいいと思います。
2. 検索結果の並び順や中身に依存しない
APIラボのページの注意事項には、検索処理の改善により、検索結果に含まれるデータやその並び順、snippets の内容は変更される場合がある、と書かれています。「1件目が必ず目的のレコードになる」といった前提で処理を組むと、ある日から動きが変わるおそれがあります。
3. ゲストスペースを含めるかは、URLで決まる
同じ注意事項によると、/k/v1/search.json に送ると、そのユーザーが参加しているゲストスペース内の情報も含めて検索します。ただし、ゲストユーザーはこのURLにリクエストできません。/k/guest/v1/search.json なら参加しているゲストスペース内の情報だけ、/k/guest/ゲストスペースID/v1/search.json なら指定したゲストスペース内の情報だけを検索します。参加していないゲストスペースや存在しないゲストスペースを指定した場合、検索結果は空になります。
4. APIラボの時点の仕様だと分かって使う
ここまでの仕様は、APIラボのページに書かれている内容です。APIラボは開発を検討中のAPIを公開している場所なので、正式リリースのタイミングでドキュメントが更新されることも考えられます。パラメーター名や認証方式を決め打ちしたプログラムは、11月8日のメンテナンス後にドキュメントを確かめてから書くのが安全です。
部署別の使いどころ(ここからは弊社の考え)
ここからは、公式情報ではなく、弊社がkintoneの業務システムを作ってきた経験からの考えです。弊社はまだこの検索APIを実案件で使っていないので、実際に使った結果ではなく、使い方の見立てとして読んでください。
| 部署・業務 | 探したいもの | 絞り込みの例 |
|---|---|---|
| 営業(見積・提案) | 過去の似た案件、前に出した見積書 | 案件管理のアプリと添付ファイルに絞る |
| カスタマーサポート | 同じ問い合わせへの過去の回答 | 問い合わせアプリのレコードとコメントに絞る |
| 総務・経理 | 規程や申請の過去のやり取り | 総務のスペースとスレッドに絞り、期間も指定する |
| 開発・情シス | 設定変更の経緯や、障害時のやり取り | スペースのスレッドを作成日時の新しい順に並べる |
どの部署でも共通するのは、「どのアプリに入っているか」を覚えていなくても探せるようになることだと考えています。kintoneはアプリが増えるほど便利になる一方で、情報の置き場所が分かれていきます。全体検索APIは、その分かれた情報をまとめて探す入口になりそうです。
もう1つの使い方として、社内向けのAIアシスタントの「調べる部分」にこのAPIを使う考え方もあります。質問を受けたAIが検索APIで関連するレコードやスレッドを探し、その結果をもとに答える形です。この場合も、AIがどのアカウントで検索するかによって、答えに使える情報の範囲が決まります。
CodeClimbの見解
正直に言うと、kintoneの困りごとで多いのは「データが無い」ことより「どこにあるか分からない」ことだと感じています。アプリやスペースが増えるほど、探す手間が積み上がっていきます。今回の正式リリースは、その手間を社内ツールの側で減らせるようになる、地味ですが効きやすい変更ではないでしょうか。
一方で、一番気をつけたいのは呼び出すアカウントの選び方です。権限の広い管理者アカウントで検索して、その結果を全員に見せる作りにすると、本来は見えないはずの人事や経理のデータまで出てしまうおそれがあります。弊社なら、社内ツールやAIから呼ぶときは、使う人本人のログイン状態(セッション認証)で呼ぶか、見せてよい範囲だけを閲覧できる専用のユーザーを用意する、という順番で考えます。
それから、APIラボの時点ではAPIトークンの記載が無い点も、設計に影響しそうです。サーバー側の連携ではAPIトークンを使うことが多いので、正式版でどうなるかは11月8日以降に必ず確かめるつもりです。
弊社は、あるkintone運用案件で、外部の連携サービスに頼っていた機能を自社開発のシステムに置き換え、年間約108万円の外部サービス費をなくした経験があります(経緯は https://code-climb.com/kintone-gaibu-renkei-cost-minaoshi/ にまとめています)。検索の仕組みも、外部サービスを足す前に、kintone標準のAPIでどこまでできるかを一度見てみる価値があると思います。
同じ11月のメンテナンスでは、プロセス管理のステータスごとに「作業者向けの説明」を設定できる機能も提供予定です(https://code-climb.com/kintone-status-sagyousha-setsumei-2026/ )。AIから社内システムにつなぐ流れ全体については、ChatGPTのカスタムGPTからプラグインへの移行を扱った記事(https://code-climb.com/chatgpt-custom-gpt-shuuryou-plugin-ikou-2026/ )も参考にしてください。
やっておくのは、この3つかなと思います。
- 「探しにくい」と言われている情報が、どのアプリやスペースにあるかを書き出しておく
- 社内ツールやAIから呼ぶなら、どのアカウントで呼ぶかを先に決める
- 11月8日のメンテナンス後に、正式版のドキュメントで認証方式とレート制限を確かめる
よくある質問
Q. 検索語はいくつまで指定できますか
APIラボのページによると、1つの検索語は1文字以上50文字以下で、query 全体で検索語は20個まで指定できます。超過するとエラーが返ります。
Q. 「〇〇を含まない」という条件だけで検索できますか
APIラボのページによると、query がANDまたはORを使用した検索条件を1つも含まない場合、検索結果は空になります。NOTだけでは使えず、ANDかORの条件と組み合わせて指定します。
Q. 期間や作成者を指定して探せますか
APIラボのページによると、createdAfter と createdBefore で作成日時の範囲を、creators で作成者のログイン名を指定できます。sort で作成日時の昇順・降順に並べることもできます。
まとめ
kintone全体を検索するAPIとは、レコードだけでなく、コメント・スペース・スレッド・添付ファイルまでを横断して探せるREST APIです。APIラボで公開されていたもので、11月8日の定期メンテナンスで正式リリースされる予定です。メンテナンス後は有効化の設定なしで使えるようになり、APIレート制限が設定されます。
検索結果は、認証したユーザーが閲覧できるデータに限られます。並び順や中身は変わる場合があり、ゲストスペースを含めるかはURLで決まります。認証方式やパラメーターは、正式版のドキュメントで確かめてから組むのがいいかなと思います。
「どこにあるか分からない」から、一緒に見直しませんか
CodeClimbは、業務システムを売る側ではなく、お客様の業務に合わせて作る側の会社です。kintoneのカスタマイズやAPIを使った社内ツールの開発、外部サービスに頼っている部分の置き換えまで、今の運用を見たうえでお手伝いしています。
「どのアプリに何が入っているのかも、まだ整理できていない」という段階からでも構いません。システム開発のサービス内容をご覧いただいたうえで、お問い合わせから今の状況をお聞かせください。
出典
https://cybozu.dev/ja/kintone/news/api-updates/2026-11/ | cybozu developer network(2026年11月8日 kintone API アップデート情報) | 2026年10月
https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/api-lab/rest-api/search/search-data/ | cybozu developer network(kintone全体を検索する・APIラボ) | 参照 2026-10-31
https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/api-lab/ | cybozu developer network(APIラボ) | 参照 2026-10-31
