Google Workspaceで業務の自動化を進めている会社から、こんな声を聞きます。
「Workspace StudioでApps Scriptや外部のサービスを呼べるようになったと聞きました。もう業務システムを作らなくても、フローで全部できるのでしょうか」
「webhookで社外のサービスにデータを送れるようになると、勝手に情報が外へ出ていかないか心配です」
「社員が自由にフローを作り始めたら、どこまで許していいのか、管理者として何を決めればいいのか迷っています」
結論を先に言います
Workspace Studioのカスタムステップとwebhookとは、ノーコードのフローの中からApps Scriptの処理や外部のサービスを呼び出せるようにする機能で、2026年9月17日に発表されました。
ただ、どれも既定はオフで、管理者が有効にするまで使えません。 なので、使えるかどうかより先に、「フローに置くもの」と「業務システムに置くもの」を会社で分けておくのがいいかなと思います。
この記事で持ち帰れること
- 9月に加わった4つの機能(カスタムスターター・カスタムステップ・外部連携・webhook)と、10月の追加機能
- 管理者の設定で、何が既定でオフになっていて、何を決められるのか
- webhookの送り先を絞れるのは、一部のエディションだけであること
- 管理者が先に決める3つのこと(弊社の考え)
- フローに置くもの・業務システムに置くものの分け方(弊社の考え)
Workspace Studioのカスタムステップ・webhookとは:9月に加わった4つの機能

Google Workspace Updatesの「Automate workflows with custom starters and steps, third-party integrations, and webhooks in Workspace Studio」(https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/09/automate-workflows-with-custom-starters-and-steps-third-party-integrations-and-webhooks-in-Workspace-Studio.html)は2026年9月17日付で、Workspace Studioのフローに4つの機能が加わると伝えています。
| 機能 | 発表の内容 |
|---|---|
| カスタムスターター(Custom starters) | ほかのアプリで起きた出来事をもとに、フローを動かすリアルタイムのきっかけを作って公開できる |
| カスタムステップ(Custom steps) | Apps Scriptなどで独自の処理を作り、フローの中で動かせる |
| 外部連携(Third-party integrations・ベータ) | 外部のアプリやサービスとつなぎ、Workspaceとの間でデータを渡せる。発表時点の連携先は Asana、Confluence、Hubspot、Jira、Mailchimp、Quickbooks、Salesforce、Slack |
| webhook(Webhooks) | 外部のエンドポイントにHTTPリクエストを送り、そちら側の処理を動かせる。対応するエディションでは、管理者がwebhookの送り先のURL許可リストを設定できる |
発表では、これらの機能は既定でオフで、管理者が管理コンソールの「アプリ > Google Workspace > Workspace Studio」で有効にする、とされています。設定は、カスタムステップ、外部連携、webhookのそれぞれにあります。
人による承認(Approvals)の要否も、同じ場所の「Approvals」で変えられます。カスタムステップと外部連携にはそれぞれの承認設定があり、webhookは「Sensitive Steps(重要な操作)」の承認設定に従う、と書かれています。
対象のエディションは、Business Starter・Standard・Plus、Enterprise Standard・Plus、Education Fundamentals・Standard・Plusなどです。
カスタムステップは、Apps Scriptか好きな言語で作る
Workspace Studioのヘルプ「Custom starters & steps」(https://support.google.com/workspace-studio/answer/16433731?hl=en)によると、カスタムスターターとカスタムステップは、Google Apps Scriptか、HTTPアドオンを使って好きなプログラミング言語で作れます。
- カスタムスターターは、外部のアプリやサービスでリアルタイムの出来事が起きたとき(Airtableの新しいレコード、受信したwebhook、問い合わせチケットの更新など)にフローを始める
- カスタムステップは、フローの流れの中で処理を行う(メッセージの投稿、タスクの作成、SMSの送信など)
- アドオンのマニフェストで、スターターは
workflowTrigger、ステップはworkflowActionとして定義する - 作ったアドオンは、テストデプロイでチーム内に共有するか、Google Workspace Marketplaceに公開する
同じヘルプには、注意書きもあります。外部連携やアドオンのステップに変数を入れると、Gmailのメール本文、Google Chatのメッセージ、カレンダーの予定といったGoogleアカウントのデータが含まれることがあり、フローがそのデータを外部のサービスと共有しうる、というものです。また、カスタムスターターは手動でのテスト実行に対応しておらず、テストするにはフローをオンにして、外部のアプリで実際に出来事を起こす必要がある、とされています。
10月に加わった、条件分岐とDrive検索のステップ
Google Workspace Updatesの「New logic and search steps in Workspace Studio help expand automation capabilities」(https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/10/new-logic-and-search-steps-in-workspace-Studio-help-expand-automation-capabilities.html)は2026年10月9日付で、10月の機能追加を伝えています。日本語の画面名は確認できていないので、英語の機能名に訳を添えます。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Nested Conditionals(入れ子の条件分岐) | フローの中で条件分岐を入れ子にでき、何段階にも分かれる判断の道筋を作れる |
| Gmail Skip Replies(返信を無視) | Gmailのスレッドをきっかけにするとき、その後の返信を無視し、最初に届いたメールだけでフローを動かせる |
| Meet Calendar Outputs(Meetの予定情報の出力) | Google Meetの手順が、招待者の一覧を含むカレンダーの予定情報を出力できるようになり、会議後のフォローアップメールの下書きを作るテンプレートにも対応する |
| Search for a Doc(文書の検索) | 検索の条件をもとに、関係する文書をフローの中で探せるGoogle Driveのステップ |
こちらは、管理者の設定はWorkspace Studio全体のドメイン・組織部門の方針を引き継ぎ、利用者側は既定でオンになる、とされています。展開は2026年10月13日から段階的に始まり、表示されるまで最大15日かかります。対象は、Workspace Studioを使えるすべてのGoogle Workspaceのお客様と、Workspace Individualの契約者です。
管理者の設定で決められること:webhookとカスタムステップ
9月の4つの機能は、管理者が有効にするまで使えません。管理者ヘルプには、webhookとカスタムステップそれぞれの設定が書かれています。
webhook:4つの安全策と、許可リストが使えるエディション
管理者ヘルプ「Allow or block Send a webhook」(https://knowledge.workspace.google.com/admin/studio/allow-or-block-send-a-webhook?hl=en)では、webhookの安全策が4つ挙げられています。
| 安全策 | 管理者ヘルプの内容 |
|---|---|
| 既定でオフ | 管理者が組織部門ごとに明示的にオンにするまで、webhookはオフ |
| URL許可リスト | 対応するエディションでは、組織のURL許可リストに入れたドメインとエンドポイントにだけデータを送る |
| 利用者の確認 | 既定では、各webhookのステップが動く前に、人が内容を確認して承認する必要がある |
| ログ | webhookの実行のリクエストは、Workspace Studioのログイベントとして記録される |
ここで押さえておきたいのが、URL許可リストを使えるのは、Business Plus、Enterprise Standard・Plus、Education Standard・Plusだけという点です。同じページには、許可リストに対応していないエディションでは、webhookをオンにすると、有効なURLならどこにでも接続できる、と書かれています。
許可リストは、Google ドライブ・ドキュメント・スプレッドシート・Apps Scriptと共通のURL許可リストを使います。管理コンソールの「アプリ > Google Workspace > ドライブとドキュメント > 機能とアプリケーション」の「Importing and fetching from URLs」で設定します。
ほかにも、次のことが書かれています。
- 暗号化されていないHTTP(http://)でデータを送るのは安全ではないので、HTTPS(https://)を使う
- webhookのステップは外部のエンドポイントとやり取りするため、重要な操作として扱われ、フローを動かす人が実行前に内容を確認して承認する
- webhookのログには、URLのような機密の内容が含まれる。見るには、特権管理者であるか、「View sensitive content」の設定をオンにしてもらう必要がある
カスタムステップ:テスト版の抜け道を塞げる
管理者ヘルプ「Allow or block Google Workspace custom starters and steps」(https://knowledge.workspace.google.com/admin/studio/allow-or-block-ws-custom-steps?hl=en)によると、カスタムステップは、組織の中の開発者か第三者が作るものです。利用者がカスタムステップに変数を入れると、GmailやChatのメッセージの内容、ドライブの文書、カレンダーの予定の情報が、外部やステップの開発者に渡りうる、と書かれています。
管理者が選べるのは次のとおりです。
| 設定 | 内容 |
|---|---|
| オフ(既定) | フローでカスタムステップを使えない。以前カスタムステップを使っていたフローは動かなくなる |
| オン | 管理者が許可した、公開済みのカスタムステップを使える |
| 未公開(テスト版)を許可 | 「Allow unpublished (test) custom steps」にチェックを入れると、Marketplaceに公開されていないカスタムステップを試し、ほかの人に共有できる |
公開前のカスタムステップは、テストデプロイから入れて試します。そして、そのApps Scriptを共有された人は誰でも、テスト版を入れられます。テスト版の利用を絞っておけば、止めたステップをテスト版で作り直して設定をすり抜ける、ということを防げる、とされています。
なお、2つの機能の提供段階は、ページによって書き方が違います。9月17日の発表では、ベータと書かれているのは外部連携だけです。一方、上の管理者ヘルプの2ページには、どちらも「This feature is in limited preview(限定プレビュー)」と書かれています。社内で検討するときは、両方の書き方があることを前提にしておくのがいいかなと思います。
管理者が先に決める3つのこと(ここからは弊社の考え)
ここからは公式の記載ではなく、弊社が業務システムを作ってきた立場からの考えです。
既定はオフなので、管理者が何も決めなければ、社員は使えません。逆に、一度オンにすると、社員がそれぞれフローを作り始めます。なので、オンにする前に次の3つを決めておくのがいいかなと思います。
| 決めること | 弊社が考える判断の目安 |
|---|---|
| 1. カスタムステップを誰が作り、誰が使えるか | 作る人(社内の開発担当か外部か)と、使ってよい組織部門を先に決める。テスト版の許可は、試す担当者だけに絞る |
| 2. webhookの送り先と確認の要否 | 許可リストを使えるエディションなら、送り先を先に洗い出して登録する。使えないエディションなら、オンにする組織部門を小さくし、利用者の確認は外さない |
| 3. 外へ出してよいデータ | メール本文や顧客の情報のように、外部のサービスに渡してはいけないものを先に書き出す。外部連携やwebhookでつなぐ前に、何を渡すかを決める |
フローに置くもの、業務システムに置くもの(ここからは弊社の考え)

ここも公式の記載ではなく、弊社の線引きです。Apps Scriptや外部のサービスを呼べるようになると、「フローで全部できるのでは」と考えたくなります。ただ、弊社は、組めることと、業務の正本(いちばん正しいデータ)を置いてよいことは、別に考えています。
| 置き場所 | 向いている処理(弊社の考え) |
|---|---|
| Workspace Studioのフロー | Workspaceの中で完結する定型の流れ。メールが届いたら通知する、会議のあとにフォローの下書きを作る、関係する文書を探して渡す、など |
| フロー+カスタムステップ | 社内のルールが決まっている小さな処理を、Apps Scriptで足す。外へ送る処理は、人が確認してから動かす |
| 業務システム | データを持ち続ける、複数人で同時に更新する、履歴や権限を細かく管理する、件数の多い処理を毎日まわす、など |
判断が入るところはAI、ルールが決まっている大量の処理はプログラム。弊社はこの分け方で仕組みを作っています。フローは、その間をつなぐ部分に向いているかなと思います。
部署別の使いどころ(弊社の考え)
| 部署 | フローに置く例 | 業務システムに置く例 |
|---|---|---|
| 営業 | 問い合わせメールが届いたら担当者に通知し、返信の下書きを作る | 顧客と商談の履歴、見積の版の管理 |
| 総務・人事 | 会議のあとに参加者へフォローのメールの下書きを作る | 申請と承認の記録、権限ごとの閲覧の管理 |
| 経理 | 請求書のPDFが届いたら、関係する文書を探してまとめる | 取引の記録と集計、締め処理 |
| 情シス | カスタムステップのテスト版を、担当者だけで試す | 社内のデータの正本と、連携先の一覧の管理 |
Workspace Studioの利用上限とプランごとに使える範囲は「Workspace Studioで業務自動化」、Apps Scriptの管理者の設定は「Google Apps Scriptのコアサービス化」にまとめています。
CodeClimbの見解
ここまでは、公式の発表とヘルプに書かれていることと、それを前提にした弊社の考えを並べました。ここでは、弊社の経験から書きます。
まず正直に書いておくと、弊社はWorkspace Studioのカスタムステップやwebhookを、社内やお客様の業務で運用したことはまだありません。 なので、使い込んだ感想ではなく、業務システムを作ってきた側の考えです。
弊社は、Google Apps Script、AppSheet、kintone、Next.jsなどで、お客様の業務システムを作っています。その中で何度も見てきたのが、「最初はつなぐだけで足りていたのに、気づくとデータの正本があちこちに散らばる」という形です。
たとえば、あるkintone運用案件では、外部サービス(トヨクモのFormBridge・kViewer・DataCollect)に月9万円かかっていたのを、自社開発のシステムに置き換えて廃止し、年間約108万円を削減しました。つなぐ仕組みが増えるほど、費用も、どこに何があるかの見通しも重くなります。業務の中心にあるデータは、つなぐ側ではなく、システムの側に置いたほうが、あとで困りにくいかなと思います。
一方で、Workspaceの中で完結する定型の流れまで、全部を業務システムで作る必要はありません。ノーコードのフローで十分なところはフローで組み、そこに置いてはいけないものだけをシステムに置く。今回の機能追加で、その分け方を考えやすくなったと思います。
やっておくのは、この3つかなと思います。
- 既定がオフであることを前提に、オンにする順番を決める。まず小さな組織部門から始める
- 業務の正本をどこに置くかを先に決める。フローは正本を読み書きする側、正本はシステムの側
- 外へ出すデータを書き出してから、webhookと外部連携をつなぐ。許可リストが使えないエディションでは、なおさら先に決める
Apps Scriptで業務システムを作るときの限界は「GASで業務システムを作る限界」、AIや自動化に任せない業務の分け方は「AI導入で任せない業務4分類」をご覧ください。
よくある質問
Q. webhookをオンにすると、フローが勝手に外部へデータを送りますか
管理者ヘルプ「Allow or block Send a webhook」では、既定では、各webhookのステップが動く前に、人が内容を確認して承認する必要がある、とされています。承認の設定は管理コンソールで変えられます。webhookの実行のリクエストは、Workspace Studioのログイベントとして記録されます。
Q. カスタムステップを止めたら、今動いているフローはどうなりますか
管理者ヘルプ「Allow or block Google Workspace custom starters and steps」では、設定をオフにするとフローでカスタムステップを使えなくなり、以前カスタムステップを使っていたフローは動かなくなる、とされています。止める前に、どのフローが使っているかを確かめておく必要があります。
Q. カスタムスターターを作ったら、どうやってテストすればいいですか
Workspace Studioのヘルプ「Custom starters & steps」では、カスタムスターターは手動でのテスト実行に対応していない、とされています。テストするには、フローをオンにして、外部のアプリやサービスで実際に出来事を起こします。
まとめ
Workspace Studioには、2026年9月17日に、カスタムスターター、Apps Scriptなどで作るカスタムステップ、外部連携(ベータ)、webhookの4つの機能が加わりました。10月には、入れ子の条件分岐やDriveの文書を探すステップなども加わっています。
ただ、9月の4つの機能は既定でオフで、管理者が有効にするまで使えません。webhookは、既定では実行前に人の確認が入り、送り先の許可リストを使えるのはBusiness Plus、Enterprise Standard・Plusなどの一部のエディションだけです。カスタムステップは、テスト版の利用まで管理者が絞れます。組めることが増えた分、フローに置くものと業務システムに置くものを、先に分けておく。この順番で考えておくのがいいかなと思います。
フローで組むか、システムで作るか、一緒に決めませんか
CodeClimbは、ツールを売る側ではなく、業務に合わせて仕組みを作る側の会社です。Google Apps Script、AppSheet、kintoneなどで業務システムを作ってきた立場から、ノーコードの自動化で済むところと、システムとして作るところの線引きからお手伝いしています。
「Workspace Studioを試し始めたけれど、どこまで任せていいか分からない」という段階からでも構いません。システム開発・DX支援のサービス内容をご覧いただいたうえで、お問い合わせから今の状況をお聞かせください。
出典
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/09/automate-workflows-with-custom-starters-and-steps-third-party-integrations-and-webhooks-in-Workspace-Studio.html | Google Workspace Updates | 2026年9月
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/10/new-logic-and-search-steps-in-workspace-Studio-help-expand-automation-capabilities.html | Google Workspace Updates | 2026年10月
https://support.google.com/workspace-studio/answer/16433731?hl=en | Workspace Studio ヘルプ | 参照 2026-10-18
https://knowledge.workspace.google.com/admin/studio/allow-or-block-send-a-webhook?hl=en | Google Workspace 管理者ヘルプ | 参照 2026-10-18
https://knowledge.workspace.google.com/admin/studio/allow-or-block-ws-custom-steps?hl=en | Google Workspace 管理者ヘルプ | 参照 2026-10-18
