kintoneのプロセス管理で申請・承認を回している会社から、こんな声を聞きます。
「承認者に回ってきても、何を確認すればいいのか分からなくて、結局チャットで聞き直しています」
「ステータス名を工夫しても、判断の基準まではとても書ききれません」
「アプリが増えて、どのアプリの承認フローがどうなっているのか、管理する側も把握できていません」
結論を先に言います
kintoneの「作業者向けの説明」とは、プロセス管理の設定画面から、ステータスごとに設定できる説明のことです。11月定期メンテナンスで提供予定と案内されています。
あわせて、プロセス管理の設定を取得・変更するAPIでも、この説明を扱えるようになります。説明を手で書くだけでなく、APIで取得して控えを残したり、複数のアプリでそろえたりする使い方ができそうです。
この記事で持ち帰れること
- 11月定期メンテナンスで、プロセス管理に何が増えるのか
- 作業者向けの説明を取得・変更できるAPIの一覧(表で整理)
- 変更APIを使うときに、うっかり事故になりやすい3つの注意点
- 同時に正式リリースされる「kintone全体を検索する」APIの確認点
- 部署別の使いどころと、説明欄に何を書くか(弊社の考え)
kintoneの「作業者向けの説明」とは:11月定期メンテナンスで提供予定

cybozu developer networkの「2026年11月8日 kintone API アップデート情報」(2026年10月9日公開。https://cybozu.dev/ja/kintone/news/api-updates/2026-11/ )では、11月定期メンテナンスで、プロセス管理の設定画面から、ステータスごとに「作業者向けの説明」を設定できる機能を提供予定、と案内されています。
同じページには、API以外のkintoneのアップデートに関する情報は「kintone アップデート情報」のサイトを参照するように、そして11月定期メンテナンス分は後日公開される、とあります。
作業者向けの説明を扱えるAPI:取得はJavaScript APIとREST API、変更はREST API

同じアップデート情報によると、この機能の提供に伴って、プロセス管理の設定を取得・変更するAPIで、作業者向けの説明を扱えるようになります。対象として挙げられているAPIを表にまとめます。
| やりたいこと | 対象API | 対象の環境 |
|---|---|---|
| 画面のカスタマイズで説明を取得する | JavaScript API kintone.app.getStatus() | PC・モバイルのレコード一覧などの画面 |
| サーバー側から説明を取得する | REST API /k/v1/app/status.json[GET] | 運用環境 |
| サーバー側から説明を取得する | REST API /k/v1/preview/app/status.json[GET] | 動作テスト環境 |
| 説明を変更する | REST API /k/v1/preview/app/status.json[PUT] | 動作テスト環境 |
ポイントは、変更の対象APIとして挙がっているのが、動作テスト環境(preview)のURLの /k/v1/preview/app/status.json[PUT]であるという点です。
それぞれのAPIの基本の仕様は、次のとおりです。
- JavaScript APIの
kintone.app.getStatus()は、アプリのプロセス管理の設定を取得する非同期のAPIで、戻り値はPromiseオブジェクトです。PCとモバイルのレコード一覧・追加・編集・詳細・グラフの画面で使えます(「プロセス管理の設定を取得する」JavaScript API。https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/js-api/app/get-status/ ) - REST APIの取得は、運用環境の設定ならアプリのレコード閲覧権限かレコード追加権限のどちらか、動作テスト環境の設定ならアプリ管理権限が必要です(「プロセス管理の設定を取得する」REST API。https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/rest-api/apps/settings/get-process-management-settings/ )
- REST APIの変更は、アプリ管理権限が必要です。このAPIは動作テスト環境のアプリを変更するもので、本番環境に反映するには、実行後に「アプリの設定を運用環境へ反映する」APIを実行するよう案内されています(「プロセス管理の設定を変更する」REST API。https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/rest-api/apps/settings/update-process-management-settings/ )
変更APIを使うときの3つの注意点
説明を複数のアプリでそろえようとすると、変更APIを使いたくなります。ただ、このAPIは説明だけを書き換えるものではなく、プロセス管理の設定そのものを変えるAPIです。「プロセス管理の設定を変更する」のページから、事故につながりやすい点を3つ挙げます。
1. 既存のステータスを指定し忘れると、削除される
リクエストの states について、ステータスを追加・更新するときは既存のステータスを指定すること、指定しないとそのステータスは削除される、と書かれています。一部のステータスの説明だけを送るつもりで書くと、残りのステータスが消えてしまうおそれがあります。
2. 本番に反映するAPIは別に要る
前の章のとおり、変更APIが書き換えるのは動作テスト環境です。運用環境に反映するAPIを実行するまで、利用者の画面には変更が出ません。逆に言えば、反映前に動作テスト環境で中身を確かめる時間を取れます。
3. リビジョン番号で、誰かの変更を上書きしないようにする
変更APIには revision(期待しているリビジョン番号)を指定できます。実際のリビジョン番号と一致しない場合はエラーになり、設定は変更されません。-1 を指定するか指定しなかった場合は、リビジョン番号は検証されません。画面で誰かが設定を触っている可能性があるなら、取得したときのリビジョン番号を付けて送るほうが安心です。
同時に正式リリースされる「kintone全体を検索する」API
11月のアップデート情報には、もう1つ、管理側が押さえておきたい変更があります。APIラボで公開していた「kintone全体を検索する」API(/k/v1/search.json[POST])の正式リリースです。
アップデート情報によると、定期メンテナンス後は、アップデートオプションでAPIの利用設定を有効にしなくても、このAPIを利用できます。そして、正式リリースにあたって、このAPIにはAPIレート制限が設定されます。
社内ツールからこのAPIを呼んでいる場合は、メンテナンス後にこのAPIのドキュメントで制限の内容を確かめておくと安心です。
部署別の使いどころ(ここからは弊社の考え)
ここからは、公式情報ではなく、弊社がkintoneの承認フローを作ってきた経験からの考えです。機能はまだ提供前なので、実際に使った結果ではなく、使い方の見立てとして読んでください。
| 部署・業務 | 止まりやすいステータス | 説明欄に書くとよさそうなこと |
|---|---|---|
| 経理(経費精算・支払申請) | 経理確認 | 領収書の要件、差し戻すときの書き方、締め日 |
| 総務(稟議・備品購入) | 部長承認 | 決裁の金額の目安、相見積もりの要否 |
| 営業(見積・値引き申請) | 上長確認 | 値引きの判断基準、確認する添付資料 |
| 人事(休暇・各種届) | 人事確認 | 確認する規程の名前、本人へ連絡する条件 |
どの部署でも共通するのは、ステータス名は「どこまで進んだか」を表すもので、「何をすればいいか」までは表せないということです。説明欄は、その差を埋める場所になると考えています。
弊社が以前書いたプロセス分析の記事(https://code-climb.com/kintone-process-bunseki-bottleneck-2026/ )では、ステータスごとの滞在時間から「どこで止まっているか」を見る方法を紹介しました。止まっている場所が分かったら、そのステータスにだけ説明を足し、前後で滞在時間を比べる。測る→直す→もう一度測る、という順番で使えると、効果を確かめながら進められるかなと思います。
CodeClimbの見解
正直に言うと、承認フローが止まる理由は、システムの機能よりも「次に何をすればいいか分からない」ことのほうが多いと感じています。承認者が迷うと、チャットで聞き直したり、とりあえず保留にしたりして、そこで日数が延びます。今回の説明欄は、その迷いを画面の中で解消できる、地味ですが効きやすい改善ではないでしょうか。
一方で、説明欄は書けば書くほど読まれなくなります。弊社としては、1つのステータスに書くのは「確認すること」と「差し戻す条件」の2つくらいに絞るのがいいと考えています。細かい規程は別のページに置き、説明欄からはその名前を示すだけにしておくと、規程が変わったときに直す場所が1つで済みます。
なお、この記事を書いている2026年10月29日の時点では、まだ提供前の機能です。弊社が確認した範囲では、取得・変更APIの個別ページにはまだ説明の項目名が見当たらなかったので、項目名を決め打ちしたプログラムは、提供後にドキュメントが更新されてから書くのが安全だと考えています。画面の細かい使い方も、後日公開されるアップデート情報を待ってから確かめるつもりです。
APIでの一括管理は、アプリが10を超えるような会社で効いてくるはずです。ただ、前に書いたとおり、変更APIはステータスの削除まで起こしうるものです。弊社なら、いきなり一括で書き換えるのではなく、まず取得APIで全アプリの設定を書き出して控えを残し、1つのアプリの動作テスト環境で試してから広げる、という順番を取ります。
弊社は、あるkintone運用案件で、外部の連携サービスに頼っていた機能を自社開発のシステムに置き換え、サービスを廃止した経験があります(経緯は https://code-climb.com/kintone-gaibu-renkei-cost-minaoshi/ にまとめています)。そのときも、最初にやったのは「今どの設定が、どのアプリで動いているか」を書き出すことでした。説明欄の整備も、まず現状の設定を一覧にするところから始めると、迷わずに進められると思います。
やっておくのは、この3つかなと思います。
- プロセス分析や日々の感覚で、止まりやすいステータスを3つまで挙げておく
- 提供されたら、そのステータスにだけ「確認すること」と「差し戻す条件」を書く
- APIで扱うなら、まず取得APIで全アプリの設定の控えを取る
よくある質問
Q. 運用環境と動作テスト環境で、取得に必要な権限は違いますか
「プロセス管理の設定を取得する」REST APIのページによると、違います。運用環境の設定は、アプリのレコード閲覧権限かレコード追加権限のどちらかがあれば取得できます。動作テスト環境の設定を取得するには、アプリ管理権限が必要です。
Q. 画面のカスタマイズで kintone.app.getStatus() を何度も呼んでも大丈夫ですか
「プロセス管理の設定を取得する」JavaScript APIのページによると、このAPIは実行時にサーバーからデータを取得し、取得したデータは画面遷移が発生するまでキャッシュされます。ユーザーごとに1分当たり50回を超えるサーバーからのデータの取得があった場合、戻り値のPromiseオブジェクトが拒否(rejected)されます。
Q. 変更APIでステータスの名前を付け直すときは、どう指定しますか
「プロセス管理の設定を変更する」REST APIのページによると、ステータスを変更するときは、更新前のステータス名を states のキー(ステータス名)に指定します。ステータスの名前は64文字以内です。また、先頭のステータスは新規に追加できず、先頭を変えたい場合は既存の先頭ステータスの名前を変更するよう書かれています。
まとめ
kintoneの「作業者向けの説明」とは、プロセス管理の設定画面から、ステータスごとに設定できる説明です。11月定期メンテナンスで提供予定で、画面の細かい仕様は後日公開されるアップデート情報で確かめる必要があります。
APIでは、取得はJavaScript APIの kintone.app.getStatus() とREST APIのGET、変更はREST APIの動作テスト環境向けのPUTで扱えます。変更APIは既存のステータスを指定し忘れると削除が起き、本番に反映するAPIも別に要るので、取得で控えを残してから少しずつ進めるのがいいかなと思います。
同じメンテナンスで、「kintone全体を検索する」APIが正式リリースされ、レート制限が付きます。社内ツールから呼んでいる場合は、あわせて確認しておきましょう。
承認フローの「迷う場所」から、一緒に見直しませんか
CodeClimbは、業務システムを売る側ではなく、お客様の業務に合わせて作る側の会社です。kintoneの承認フローの設計や、APIを使った複数アプリの管理、外部サービスに頼っている部分の置き換えまで、今の運用を見たうえでお手伝いしています。
「どのステータスで止まっているのかも、まだ分からない」という段階からでも構いません。システム開発のサービス内容をご覧いただいたうえで、お問い合わせから今の状況をお聞かせください。
出典
https://cybozu.dev/ja/kintone/news/api-updates/2026-11/ | cybozu developer network(2026年11月8日 kintone API アップデート情報) | 2026年10月
https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/rest-api/apps/settings/get-process-management-settings/ | cybozu developer network(プロセス管理の設定を取得する REST API) | 参照 2026-10-29
https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/rest-api/apps/settings/update-process-management-settings/ | cybozu developer network(プロセス管理の設定を変更する REST API) | 参照 2026-10-29
https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/js-api/app/get-status/ | cybozu developer network(プロセス管理の設定を取得する JavaScript API) | 参照 2026-10-29
